ポリビニルピロリドン(PVP)を含有するモル比Ba(CH_3COO)_2:Ti(OC_2H_5)_4:PVP:CH_3COOH:H_2O:C_2H_5OH=1:1:0.5:27:4:5なる溶液をコーティング液とし、1回のディップコーティング操作によってBaTiO_3薄膜を作製した。210℃以下の温度での溶媒とCH_3COOHの蒸発、210°-360℃でのPVPの分解、440℃以下の温度でのCH_3COO^-の分解、500°-610℃での結晶化を経てゲル膜がBaTiO_3セラミック薄膜に変換されることを明らかにした。PVPの分解がおこるとゲル膜中で脱水縮合反応が進行し、その結果膜厚が減少した。ゲル膜を700℃で熱処理した場合には厚さ0.9μmのBaTiO_3薄膜が得られた。一方、PVPの熱分解をゆっくり進行させることが膜の緻密化に有効であり、700℃での熱処理に先立って360℃での熱処理を行うと膜が緻密化し、膜の誘電率が大きくなることがわかった。 金属塩水溶液をコーティング液とする新しいゾル-ゲルセラミック薄膜成膜技術を開発した。ポリビニルピロリドン・ポリビニルアセトアミド、ポリアクリルアミドなどのアミド基を有する有機高分子を金属塩水溶液に添加することによって、基板材料へのコーティング液の濡れ性とゲル膜形成能が向上することを明らかにした。これらの有機高分子を含有するTi(SO_4)_2水溶液およびZrCl_2O水溶液をコーティング液とすることによって、透明で亀裂がない厚さ0.07-0.1μmのTiO_2およびZrO_2薄膜が作製できた。
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