研究概要 |
ポリビニルピロリドン(PVP)を含有するPb(CH_3COO)_2・3H_2O-Zr(OC_3H_<7^n>)_4-Ti(OC_3H_<7^i>)_4-H_2O-CH_3COOH-CH_3OC_2H_4OH-n-C_3H_7OH溶液からゲル膜を作製し,700℃で焼成することによって,1回のコーティング操作で亀裂のない厚さ2μmのPZT膜が得られた。ただし膜は多孔質であった。熱分析,赤外吸収スペクトル測定,X線回折により,PVPとCH_3COO-が250°-320℃で熱分解し,Pb_3(CO_3)_2(OH)_2が350℃付近で析出し,残留炭素が360°-460℃で燃焼し,PZT相が550℃付近で生成することがわかった。700℃での熱処理に先立つ低い温度での熱処理は膜の緻密化に有効ではなく,前もって100°あるいは200℃で熱処理すると粒子間間隙が増大し,350℃で熱処理すると亀裂が発生した。 一方,PVPを含有するPb(NO_3)_2-Zr(OC_3H_<7^n>)_4-Ti(OC_3H_<7^i>)_4溶液から作製されるゲル膜を80°,300°,700℃で順次熱処理することによって,厚さ0.75μmのPZT薄膜を1回のコーティング操作で作ることができた。膜はP-Eヒステリシスを示し,60Hzでの残留分極,抗電場はそれぞれ24.6±1.6μCcm^<-2>,95.6±9.8kVcm^<-1>であった。さらに,濃縮した溶液をコーティング液とすると,厚さ2.2μmのPZTが得られ,60Hzでの残留分極,抗電場はそれぞれ21μCcm^<-2>,90kVcm^<-1>であった。 このほか,PVPを含有する溶液から,亀裂のない厚さ0.77及び0.40μmのBaTiO_3及びBaBi_4Ti_4O_<15>薄膜を1回のコーティング操作で作製することができ,1kHzの誘電率310,380がそれぞれ得られた。
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