研究概要 |
ジアステレオマー塩法によって効率良く光学分割が行える系の予測は,本研究の基盤として極めて重要である。そこで,今までの研究で得られた知見を基に,比較的分子長の長いアミンに対する光学分割の効率を向上させるため,分子長の相同性効果とCH-π相互作用による結晶の安定化効果を期待し,マンデル酸のメチル基をメトキシナフチル基に変更した新規酸性光学分割剤を設計した。この光学分割剤を用いてラセミアミンの系統的な光学分割を行ったところ,広範なターゲットアミンに対して高い光学分割能を示した。また,X線結晶構造解析の結果,分割剤に導入したナフタレン環のπ電子が,予期したように,重要な役割を果たしていることが明らかになった。 また,ラセミ酸・ラセミ塩基同時分割法の開発を推進するため,本法の有用化合物光学分割への適用の可否を調べた。即ち,医薬品として上市されているプロフェン系カルボン酸を中心とした6種のカルボン酸と3種のアミンの組み合わせの内,高分割成績が報告されている6つの組み合わせについて,ラセミ酸・ラセミアミンの結晶形態を調べたところ,3種の結晶がコングロメレートであることを明らかにした。コングロメレートである確率(50%)は極めて高く,基本的概念の妥当性を示している。 一方,コングロメレート探索にはX線結晶構造解析を行ってきたが,汎用性に問題がある。そこで,CD法,液クロ法など新規な方法について検討した。
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