研究概要 |
1. 2-フェニルピリジンとハロゲン化アリールとをルテニウム錯体触媒と塩基の存在下に反応させると,2-フェニルピリジンのベンゼン環オルト位が直接アリール化されることを見出した、各種反応条件に関して検討を行い,最適条件を確立した.触媒に関しては,ホスフィンが配位したルテニウム系錯体が高い活性を示し,中でも[η^6-C_6H_6RuCl_2]_2-4PPh_3系が最も高い活性を示した.さらに,塩基は炭酸カリウム,溶媒はN-メチルピロリジノン,反応温度は120℃,反応時間は20-40時間という最適条件を得た.この条件下で転化率は90%程度となる. 2.ピリジル基はルテニウムに配位してオルト位への反応を促進するディレクティンググループとして重要である.しかし,ピリジル基は他の官能基への変換が容易ではないため,官能基変換が容易な置換基をディレクティンググループとした反応の開発が望まれた.そこで,イミノ基,オキサゾリル基をディレクティンググループとして有する芳香環のハロゲン化アリールによる直接アリール化反応を開発した.イミノ基はケトン,アルデヒド,アルコール,アミンに容易に変換可能であり,また,オキサゾリル基はカルボン酸,エステル,アミドに容易に変換可能である.すなわち,本反応はこれらの官能基を有する芳香環の直接アリール化を可能とした. 3.上記の反応を用いて各種含窒素ポリアリール化合物を合成し,それらの有機EL材料としての有用性を検討したところ,熱的に安定な電子輸送材料として優れた性能を有することが分かった.また,イリジウムや白金錯体の配位子としてこれらの含窒素ポリアリール化合物を用い,発光効率の高い燐光性遷移金属錯体の合成に成功した.
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