研究概要 |
申請者は研究課題のビスホスホン酸誘導体の高効率合成の為の鍵中間体として非常に有用である、gem-ビスホスホノエチレン(1)の合成法の開発に成功した。この(1)は2つの電子求引基のリン酸エステル基を有するオレフィンであることから非常に電子不足な状態になっている。従って様々な求核剤との反応が行える。 1.(1)に対して様々なヘテロ環置換1,3-ジチアンカルボアニオン(ヘテロ環としてフラン、チオフェン,ピリジン、等)を作用させることにより、良好な収率で1:1マイケル付加生成物を合成するのに成功した。 2.1:1マイケル付加生成物の1,3-ジチアン官能基の脱カルボニル保護を行った後、トリメチルシリルヨージト処理によりリン酸エステル基を加水分解することで、高収率でヘテロ環置換-1,1-ビスホスホン酸の合成を達成した。 3.フェニルアラニンエチルエステル塩酸塩等の種々のアミノ酸エステルと(1)との反応においても1:1マイケル付加生成物が良好な収率で合成できることを見出した。 4.(1)に対しトリブロモメチルリチウムを反応させた後、塩基処理を行うことにより分子内環化反応を進行させることで、gem-ビスホスホノシクロプロパンの合成に成功した。このgem-ビスホスホノシクロプロパンについては、リン酸エステル部位のリン酸への官能基変換を検討中である。 5.得られた様々なビスホスホン酸誘導体の骨粗しょう症治療薬としての評価及び種々の生理活性作用の評価を今年度に行う予定である。
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