研究概要 |
前年度開発に成功したgem-ビスホスホノエチレン(1)を鍵試薬として、本年度は生理活性作用が期待される種々のgem-ビスホスホン酸の開発を行った。 1.イミダゾール、ピリジンなどの様々なヘテロ環を有するgem-ピスホスホン酸の合成:1とイミダゾール、および3-ピリジルアニオンの反応は良好な収率で1:1-マイケル付加体を与えた。また反応をNCSやSELECT FLUOR等のハロゲンカチオン試剤でクエンチするとα-クロロ-およびα-フルオロ-α,α-ビスホスホン酸エステルを良好および中程度の収率で得られた。これらの_-ハロゲノビスホスホン酸エステルをアセトニトリル溶媒中でトリメチルヨードシランと室温下、1日反応させることにより、定量的にα-ハロゲノ-α,α-ビスホスホン酸(2)(X=Cl,F)を得た。これらの2は第3世代の骨粗鬆症治療薬のゾレドロネートおよびリセドロネートの新しいタイプの類縁体であり、治療薬としての活性が大いに期待される。 2.1とトシルアミドおよびメシルアミドをヨウドシルベンゼン、銅触媒存在下,温和な条件下で反応させることにより1-トシルおよび1-メシル-2,2-ビスホスホノアジリジン(3a, b)を75-54%の収率で得た。3aをメタノール中で過剰量のギ酸アンモニウム、触媒量のパラジウム存在下で処理することによりα-トシルアミドエチルビスホスホン酸エステル(4)が61%収率で生成した。4はα-アミノ酸のアナローグのα-アミノジホスホン酸に変換される。従って、その機能が多いに興味が持たれる。 以上、従来合成が多段階を要し、合成も困難であった種々の官能基を有するα,α-ビスホスホン酸の簡便合成法の確率に成功した。従ってα,α-ビスホスホン酸の化学と生理活性作用などの研究が今後大いに展開されることが予想される。
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