研究概要 |
申請者らが独立に開発したフェニルアゾメチン高分子を活用して、高速応答で作動する高エネルギー出力のプロトン電池を目指したポリマー電極の構築と性能試験を目的とした。具体的には、次の3項目を期間内に推進した。 1)ポリマー構造と電子過程の相関解明 2)ポリマーのレドックス過程の解析 3)プロトン電池の作製と性能試験 1)ポリマー構造と電子過程の相関解明 フェニレンジアミと1,4-ジベンゾイルベンゼンの四塩化チタン、または、触媒量のパラトルエンスルホン酸による共縮重合により得たフェニルアゾメチンポリマー誘導体の合成法を確立した。分子軌道計算法に基づき、一段階多電子移動のレドックス応答するイミン骨格を選定した。特に単一分子量・単一構造を有するフェニルアゾメチインデンドリマー、フェニレンジイミン、環状イミンを合成した。 2)ポリマーのレドックス過程の解析 π共役高分子連鎖上に配列したレドックス集積場では一段階多電子移動効率よく進行する。一段階多電子移動の生起には、各段階の酸化還元電位差に大差が無いことが条件となる。微分パルス法による酸化還元電位(差)ΔE(M^+-M^+-e=M^+-M^<2+>E1;M^+-M^<2+>-e=M^<2+>-M^<2+>E2,E2-E1=ΔE)の決定から均化定数(Kc=[M^+-M^<2+>]2/[M^+-M^+][M^<2+>-M^<2+>])を算出し、ポリフェニルアゾメチン電子系の一段階多電子移動の割合(Kc=exp[ΔEF/RT])を評価した。パルスボルタンメトリーのシュミレーションより、1段目と2段目の酸化還元電位が100mVも逆転していることを突き止めた。 3)プロトン電池の作製と性能試験 高プロトン電導性を示すナフィオンフィルムを固体電解質として利用した簡易的な高分子プロトン電池[フェニルアゾメチンポリマー‖ナフィオン‖ポリアニリン]を作製、連続放電特性の評価システムを構築した。酸性中、高速応答性を確認した。
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