研究概要 |
経年航空機構造の健全性回復という観点から,新機構造と同等の構造安全性と構造寿命を与える再新生のための補修技術開発が望まれている.本研究では経年航空機構造に生じた微小損傷を軽量でかつ高強度の繊維強化複合材パッチで補修し,ヘルスモニタリング機能を付与することによって,新機構造と同等の構造安全性と構造寿命を与える再新生補修技術を開発するために,仮想現実構造試験システムおよび補修効果同定システムを実現し総合的検証を実施した。研究成果を要約すると以下の通りである. 1.貫通疲労き裂を有する航空機機体構造パネルを片面から複合材パッチで接着補修したモデルを対象とし,数値計算法としてミンドリン板理論と高次板理論に基づく二次元FEMならびに領域分割法に基づく三次元FEM/BEMを用いた航空機機体構造パネル内の疲労き裂進展のシミュレーション法を開発した. 2.複合材パッチ内の面内ひずみを計測情報とした,接着補修機体構造パネル内を進展する疲労き裂およびその進展に伴って生じた接着はく離の先端位置および先端形状の高精度同定法を開発した. 3.パッチ表面に多点のゲージ部を有するファイバーブラック格子(FBG)センサーを設置したひずみ計測センサーシステムを開発した. 4.数理計画法を基礎とした複合材パッチの形状最適設計システムを開発した. 5.仮想現実構造試験システムおよび補修効果同定システムに関して,実用性,有用性を含めた総合的見地から検討し,今後の実用化における指標を提示した.
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