研究課題/領域番号 |
13555267
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高橋 厚史 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (10243924)
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研究分担者 |
浅野 種正 九州工業大学, マイクロ化総合技術センター, 教授 (50126306)
八坂 哲雄 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80261238)
永山 邦仁 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20040446)
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キーワード | マイクロマシン / マイクロチャンネル / 気液相変化 / マイクロヒータ / 過酸化水素水 |
研究概要 |
重量1kg以下の航空宇宙機の位置および姿勢を制御するためのマイクロスラスターの開発を行っている。燃料として自由度の大きな液体を採用することを前提条件として、グラムオーダーの重量とともに、100秒以上の比推力を持つスラスターの完成を最終的に目指している。具体的には、高濃度過酸化水素水を用いたモノプロペラント方式とし、特にマイクロ空間での相変化挙動やヒーターおよび触媒の働きを解明しながら、実用にかなうシステムの構築を狙っている。 今年度は、マイクロマシン技術を用いて製作した二種類の液体型マイクロスラスターのうち、安定して動作する薄膜ヒーターを用いた蒸発型について真空環境での性能試験を進めた。ただし、薄膜の耐久性が性能を大きく左右することがわかったので、TEOS方式の絶縁膜を製作するための液体ソース気化システムを導入した。真空チャンバーは観測窓と各種導入端子を備えた現有の装置を転用し、スラスターをカンチレバー先端に取り付けて作動させ、観測窓を通して現有のレーザー変位計でその変位を計測することで発生推力を測定した。得られた出力履歴から、始動時の変動が顕著であること、比推力が非常に低いことがわかった。前者は、シリコンの異方性エッチングで形成されたマイクロチャンネル内での特異な相変化現象に起因すること、後者はスラスター全体の温度が十分には高くなりにくいことが原因である。過酸化水素水燃料を用いたスラスター応用の基礎実験では、白金を堆積したマイクロチャンネル中での自己分解反応が温度や流量ヘどう依存するかについて基礎的な情報が得られた。
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