1.水耕栽培した水稲の冠根の部位別の水の通導抵抗を、切断根の根圧の測定を通じて非定常状態で測定する方法と、定常状態において根から葉までの水の通導抵抗を葉の蒸散速度と木部の水ポテンシャルとから求める方法とで検討した。結果の概要は以下の通りである。 (1)本研究で検討対象としている切断根の切り口の木部圧を連続して測定する装置を用い、根を根端から0.2〜1cm毎に切り詰めつつ、切り口の木部を加圧した後の木部圧の減少速度を測定し、残された根の部分の水の通導抵抗を求めた。その結果水稲冠根の水の通導抵抗は、根端から4cmまでの部位が大きく、4cmより基部の部位では明らかに小さくなった。 (2)根の種々の部位に吸水を抑制するためにラノリンを塗布した後、定常状態における葉の蒸散速度と木部の水ポテンシャルとから水の通導抵抗を比較した。その結果、根端から0〜4cmの部位に比較して、根端から4〜6cmの部位から吸水した水稲で水の通導抵抗が明らかに小さかった。 (3)以上の結果は、切断根を用いて木部圧を測定することによって根の水の通導抵抗を求める方法で根の吸水能力を比較することができることを示している。 2.オオムギ16品種(系統)を用いて、種々のNaCl濃度条件で乾物生産を比較した。高NaCl濃度条件によって乾物生産が減少する程度には明らかな品種(系統)間差があった。また、トウモロコシ2系統を培地の窒素条件を変えて生育させたところ、培地が窒素を含んでいる時には窒素吸収能力に明らかな相違のあることが推察された。今後は本装置で求めた根のNaCl、窒素吸収特性とNaCl、窒素の体内蓄積量との関係を検討していきたい。
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