研究概要 |
重金属汚染土壌を効率的かつ安全に浄化するために、以下のような土壌側と植物側からそれぞれ検討を行った. 1.実際に重金属汚染を被っている農耕地において表層土および下層土における重金属汚染レベルを全量および可給態量として測定し、ジオスタティスティクスの手法を用いて圃場スケールでの重金属濃度の空間変異を解析した結果,重金属濃度(Cd, Zn, Cu)はPbの全量を除いて高い空間依存性を示した。またその依存距離はZn全量が27mであった他は80m以上であった。 2.溶出パターンの異なるコーティングEDTA五つを試作した.またこれらのコーティングEDTA資材の添加が土壌溶液中の鉛の濃度、EDTA濃度と植物による鉛の吸収に対する影響をコーティングしないEDTAと比べた。その結果、試作コーテイングEDTA4番が二次汚染の軽減と浄化効率の点において優れていたことが明らかとなった。 3.亜鉛とカドミウムの超集積植物であるThlaspi caerulescensを用いて、土壌中の重金属可溶化機構を明らかにするために、まず根から分泌される亜鉛キレート物質の探索を行った。根の分泌物を採取し、独自に開発した亜鉛キレートアッセイ法を用いて検討した結果、分泌液中に亜鉛キレート物質が検出された。また、この分泌物をイオンクロマトグラフィーにより分画した結果、アニオン画分のみに亜鉛キレート活性が認められた。またカドミウムの集積に対する亜鉛の影響を土耕栽培と水耕栽培で調べた.亜鉛の濃度が低い場合、カドミウムの集積に対する亜鉛の影響は水耕でも土耕でも認められなかったが、亜鉛の濃度が高い場合、カドミウムの集積量が減少された.土壌のカドミウムの有効度に対する亜鉛の影響は見られなかった.さらに^<113>Cd標識化合物を用いて、^<113>Cd-NMRによる体内のカドミウムの化学形態の同定を行ったところ、ケミカルシフト-17ppm付近でシグナルが観察された。
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