研究課題/領域番号 |
13556016
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宮澤 陽夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20157639)
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研究分担者 |
羽田 尚彦 備前化成株式会社, 開発研究部, 課長代理
井上 良計 備前化成株式会社, 開発研究部, 部長
津田 洋幸 国立ガンセンター研究所, 化学療法部, 部長
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キーワード | 共役脂肪酸 / 共役トリエン / 大腸がん / アポトーシス / 脂質過酸化 / 癌抑制 / 脂質代謝 / ヌードマウス |
研究概要 |
近年の食事の脂肪摂取量の増大にともない、我が国では従来少なかった乳癌や大腸癌の発症が増える傾向にある。そこで癌を予防し癌組織を退縮できる食品あるいは天然成分の機能性に期待されている。我々は本研究によって世界ではじめて紅藻類など海草中に極微量存在する共役トリエン構造の長鎖共役不飽和脂肪酸が癌細胞に特異的にアポトーシスを引き起こす生理活性のあることを発見した。そして、その作用機構を研究してきた。共役不飽和脂肪酸として、ニガウリ種子やキリ油に含まれるα-リノレン酸、藻類にある共役エイコサペンタエン酸(共役EPA)、共役ドコサヘキサエン酸が、共役リノール酸より強力かつ癌細胞特異的な作用を発揮することを明らかにした。アポトーシス誘導の機構は、癌細胞の膜リン脂質の過酸化を伴う酸化ストレスが亢進し、DNAチップによる解析の結果、TNFから始まるカスパーゼ8および3の活性化を介して癌細胞に特異的なTRAIL受容体を経てシグナル伝達が行われていることが明らかになった。さらに、ヌードマウスに大腸癌細胞DLD-1を移植して共役EPAの経口摂取の効能評価を行った。その結果、共役EOAを摂取した担癌マウスでは癌組織の著明な退縮が確認された。この時、共役EPAには癌組織増殖を阻害できる強力な血管新生阻害作用のあることを新たに発見した。一方、共役脂肪酸をアーテイファクト生成を極力防止する条件でガスクロマトグラフィーで分析するために、脂肪酸メチルエステルの至適調製法を検討し、供試脂質を弱アルカリでケン化し調製した脂肪酸を室温で30分間14%三フッ化ホウ素・メタノールで穏和に処理する条件を確立した。また、これら高度不飽和の共役脂肪酸の多量調製法を明らかにした。
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