無電源用自動開閉装置付き6点式土壌呼吸速度測定装置の開発と実用化

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13556020
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 柴田 英昭 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (70281798)
• 研究分担者: 山本 晋 産業技術総合研究所, 大気環境部, 主席研究官 ; 小池 孝良 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (10270919) ; 笹 賀一郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70125318) ; 上田 龍四郎 北海道ダルトン, 開発部, 技術開発主任
• キーワード: 土壌呼吸速度 / 無電源地帯 / 連続測定 / 根の成長 / 外生菌根菌 / 自動切換開閉機能 / 製品化に試み / 窒素無機化

研究概要

温暖化防止京都会議(COP3)に始まる森林のCO_2機能への期待の高まりに応じて、世界中で森林のCO_2フラックスのモニタリングが開始された。そしてオランダでのCOP6においてその具体的数値と、削減目標に対する具体的な削減行動が求められる自体になった。それにも係わらず森林のCO_2固定・貯留機能の計測値には信頼性の低い値しか得られていないのが現状である。森林の地上部現存量の推定は、世界最高水準の生産生態学に基礎をおいた精度の高い数値が示されたが、森林生態系の純生態系生産量(Net Ecosystem Production ; NEP)の厳密な推定にはいたっていない。これは、森林の、特に土壤からのCO_2放出量の計測例に乏しく、具体的な数値が得られていない事が原因である。本研究は数多くの測定が行える土壤呼吸の連続測定装置を作成することがねらいである。需要が見込まれることから、実用化に向け、徹底した防水加工などを施した測定機器を作製する。小動物の食害に対する対策に重点をおいて改良を進めたため携帯性は低下した。また、金属センサーにより開閉を制御してきたが、センサーの汚れが野外では生じ誤作動が頻発した。基本設計は完成したが、実用化はこのため難しい。土壤呼吸に占める外生菌根菌の活動が重要であること、呼吸速度は根量に依存していたこと、など土壌呼吸には周囲の環境条件が大きく影響することも指摘できた。このため、土壤窒素の無機化や根のターンオーバーに関する調査も開始した。このような点を克服し、環境要因の影響評価とあわせ、機器の開発と実用化を目指して開発を進める。

研究成果

• [文献書誌] 小池孝良, 香山雅純, 北尾光俊: "変動環境下における冷温帯樹木の発達と成長"根の研究. 11. 161-169 (2002)
• [文献書誌] Korotkii, T., Prokuslikin, S.G., Matsuura, Y., Koike, T.: "Effects of soil temperature on the content of nitrogen compounds in seedlings of Larix gmelinii regenerated on permafrost in central Siberia"Eurasian J. For. Res.. 5. 55-61 (2002)
• [文献書誌] Usoltsev, V.A., Koltunova, A.I., Osawa, A, Koike, T.: "Geographical gradient of annual biomass production of larch forests in northern I Eurasia"Eurasian J. For. Res.. 5. 68-77 (2002)
• [文献書誌] 香山雅純, 笹賀一郎, 小池孝良: "アカエゾマツを用いた環境修復と外生菌根菌を利用した技術開発"北方林業. 55. 56-59 (2003)
• [文献書誌] Qu.L.Y., Quoreshi, A.M., Koike, T.: "Root growth characteristics, biomass and nutrient dynamics of seedlings of two larch species raised under different fertilization regimes"Plant and Soil. (印刷中). (2003)