研究課題
基盤研究(B)
イネワラ、ムギワラ、サトウキビ・バガス等農産廃棄物及び一年生植物であるケナフ(Hibiscus cannabinus)を、アンモニア単独、アンモニア/水酸化カリにより小型反応容器を用いて、滅菌用オートクレープ中(～120℃)でパルプ化した。イネワラおよびムギワラについてはアンモニア単独では120℃で3時間処理しても脱リグニン度は60%にとどまり、製紙用パルプ製造は出来なかった。しかし、予めイネワラおよびムギワラを蒸煮爆砕した場合は、解繊可能なパルプを与えることが判明した。一方、ケナフ靱皮繊維ではアンモニア単独でも解繊可能なパルプを与えることが出来た。イネワラ、ムギワラおよびケナフ全茎を4Mアンモニア/0.1M水酸化カリで120℃、3時間蒸煮することにより、脱リグニン度は85%に達し、解繊でき、製紙用パルプとすることが可能であることが明らかになった。以上の条件でパルプを製造し、そのパルプを抄紙し、東京大学農学生命科学研究科生物材料科学専攻に設置されている装置を用いて紙力試験を行ったところ、紙力の面からも製紙用として十分使えることが判明した。パルプ化廃液についてその化学的性状(構成成分およびその構造等)を分析した。東京大学アジア生物資源環境研究センターに設置されている人工気象室で育てた植物にパルプ廃液を投与したところ、植物の成長は有意に増加することが認められた。
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