研究概要 |
前年度に引き続き、コークスベット方式により生成された一般廃棄物のごみ溶融スラグおよび廃棄石こうボードについて、地盤のセメント系固化材としての有効性を検討した。 微粉末化(比表面積4,300cm^2/g)した潜在水硬性を有するごみ溶融スラグについては、地盤改良材および高強度コンクリート用混和材としてセメントに混ぜ、圧縮試験結果から評価した。 また、廃棄石こうボードは粉末状にした後、半水石こうにするため100℃で加熱処理し、廃棄石こうボード自体の硬化反応試験と地盤改良材として土に混合し圧縮強度試験を行った。 本年度の試験結果は以下のように要約される。 1.地盤改良材としての評価:自然含水比(約60%)の火山灰質粘性土に対する強度からのごみ溶融スラグ最適混合割合を確認するため、セメントの混合割合(5〜15%)の3〜6倍(15〜90%)の量を混合して試験を行った。その結果、材齢91日においては、セメントの3〜4倍のごみ溶融スラグ量が比較的強度が高く、セメントのみの場合に比べ1.5〜5倍の値を示し、最も高い強度(約1,000kN/m^2)はセメント15%、ごみ溶融スラグ45〜60%の割合で、地盤改良材としてのごみ溶融スラグの効果が明確であった。 廃棄石こうボードは、前年度の結果から地盤改良材として初期強度を高める効果はあるが、材齢による強度増加は望めなかったため、今年度は高含水比(100〜150%)の火山灰質粘性土を対象に、廃棄石こうボード100%、セメント10%の混合割合で試験を行った結果、材齢による強度増加がみられ、材齢28日強度で500〜2,000kN/m^2を示し、セメントのみの場合に比べ40〜50倍の値で、地盤改良材としての廃棄石こうボードの有効性は、特に高含水比の粘性土に対し顕著であると考えられる。 2.コンクリート用混和材としてのごみ溶融スラグの評価:プレストレスコンクリート(PC)に対応できるように材齢1日強度が30N/mm^2以上、かつ材齢28日強度が50N/mm^2以上となるように配合試験を行った。その結果、水セメント比を30%とした場合、セメントに対するスラグ微粉末の置換率を50%まで上げても所要の性能を満足することが明らかとなった。このことから、高強度コンクリートへもごみ溶融スラグ微粉末が利用できる可能性が高いことが明らかとなった。
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