研究概要 |
コークスベット方式により生成された一般廃棄物のごみ溶融スラグ(MSW)および産業廃棄物の石こうボード廃材(WPB)をセメントの代替材として利用するため、コンクリート用混和材および地盤の固化材の観点から有効性を検討した。 潜在水硬性を有する微粉末化したMSWは、高強度コンクリートおよび地盤改良材へ適用するためセメントおよび土に混合し、一方、WPBは水硬性を持たせるために粉末化して100℃で加熱処理後、地盤改良材としてそれぞれ圧縮試験結果からその効果を評価した。 本研究成果は以下のように要約される。 1.コンクリート用混和材としてのMSWの評価:MSW微粉末はブレーン値3,920cm^2/gのものを用い、プレストレスコンクリートに対応できるように材齢1日強度が30MPa以上、かつ材齢28日強度が50MPa以上となるように配合試験を行った。その結果、水セメント比を30%とした場合、セメントに対するMSW微粉末の置換率を50%まで上げても所要の性能を満足する結果が得られた。このことから、高強度コンクリートへもMSW微粉末が混和材として利用できることが明らかとなった。 2.地盤改良材としての評価:MSW微粉末による地盤改良効果を検証するため、火山灰質粘性土(自然含水比)を対象に、MSW微粉末(混合割合15〜90%)とベース材のセメント(混合割合5〜15%)との配合試験を試験を行った。その結果、材齢91日においては、MSW微粉末はセメントの3〜4倍の配合で比較的強度が高く、セメントのみの場合に比べ1.5〜5倍の値を示し、最も高い強度(約1,000kN/m^2)はセメント15%、MSW微粉末45〜60%の配合で、地盤改良材としてのMSWの効果が明確であった。 一方、粉末状のWPBは、地盤改良材として初期強度を高める効果は大きいが、材齢による強度増加は小さいためセメントと併用し、高含水比(100〜150%)の火山灰質粘性土に粉末状のWPB100%、セメント10%の混合割合で試験を行った結果、材齢による強度増加がみられ、材齢28日強度で500〜2,000kN/m^2を示し、セメントのみの場合に比べ40〜50倍の値が得られ、地盤改良材としてのWPBの有効性は、特に高含水比の粘性土に対し顕著であると考えられる。
|