研究概要 |
脂肪蓄積調節遺伝子をマーカーとして、脂肪細胞の増殖を抑制する作用を持つ機能性栄養素・抗体をスクリーニングし、鶏脂肪蓄積抑制因子を同定して、家畜用抗肥満ワクチンと安全な低脂肪食肉生産システムの開発を目指した応用研究を行なった。 ・鶏前駆脂肪細胞を分化誘導させるには、哺乳動物における前駆脂肪細胞を分化誘導するホルモン(Ins, DEX, IMX)に外因性の脂肪酸の添加が必須であることがはじめて明らかにした。 ・鶏前駆脂肪細胞の分化マスターレギュレーターはPPARγであることを証明した。 ・insulin, 3-isobutyl-1-methylxanthin, dexamethasonのホルモンと脂肪酸を混合し、トリオレインでエマルジョン化した混合物を、細胞増殖が盛んな1日齢のヒナの腹腔内にin vivo投与すると、3週齢時あるいは5週齢時における鶏脂肪組織重量を低下させることができることを明らかにした。また、この作用は、脂肪細胞を分化させることによる細胞増殖抑制に起因することを実証した。 以上の結果から、現時点ではわずかな量で、一時的な操作ではあるもののホルモンを使用する点で、消費者に受け入れられる実用的な制御技術の確立には至らなかったものの、脂肪細胞分化誘導因子の投与がin vivoにおける脂肪蓄積量を約2/3に減少することができるなどの、鶏脂肪蓄積制御法の極めて有効な手段を明示することができた。
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