研究課題/領域番号 |
13556054
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
源 宣之 岐阜大学, 農学部, 教授 (10144007)
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研究分担者 |
ルーリンク フランク 共立製薬(旧:共立商事)株式会社, 中央研究所, 課長(研究職)
杉山 誠 岐阜大学, 農学部, 助教授 (80196774)
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キーワード | 狂犬病ウイルス / リバース・ジェネッテクス / 新型ワクチン / 遺伝子補強 / 遺伝子配置換え / 半生 / 免疫原性 |
研究概要 |
本研究の目的は、最近確立されたモノネガウイルスのリバース・ジェネテックス(逆遺伝学)の手法を用いて、これまでにない画期的な狂犬病不活化経口ワクチン用のウイルス株を創世し、そのワクチンを実用化することである。そこで、計画初年度の本年は、新ウイルス株構築のために病原制御アミノ酸領域の特定並びに新たなcDNAクローンの確立を試みた。さらに、細胞に感染してウイルス蛋白質を合成するが子孫ウイルスを産生しない「半生」ワクチン創世のための基礎実験を行った。その結果、以下の成績を得た。 1)弱毒のRC-HL株ゲノムをバックグランドにG遺伝子のみを西ケ原株由来に組換えたキメラウイルスを作出した。そのキメラウイルスはRC-HL株と同様に培養細胞で良く増殖し、一方、マウスでの免疫原性は西ケ原株と同等であった。(J.Virol.,2001) 2)弱毒のRC-HL株ゲノムをバックグランドにG蛋白質のアミノ酸164-303位のみを強毒の西ケ原株由来に組換えたキメラウイルスのマウスに対する病原性から、164-303位の領域がマウスの致死性に強く関与していることを始めて明らかにした。(第49回日本ウイルス学会2001、発表) 3)マウスに致死的病原性を示すが、比較的高い免疫原性を示す西ケ原株の感染性cDNAを確立した。(第133回日本獣医学会2002、発表予定) 4)「半生」ワクチン用ウイルス株を作出するために、M遺伝子を欠損したゲノムプラスミドを構築した。また、最初の粒子形成に必要なM蛋白質を供給するため、M蛋白質を一過性に細胞内で発現させるためのプラスミドも作製した。現在、RC-HL株遺伝子操作系を用いてM遺伝子欠損ウイルス粒子の回収を試みているが、成功していない。 今後は、「半生」及び遺伝子配置換えウイルスを構築し、それらの生物性状を調べる予定である。
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