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2003 年度 実績報告書

リグニンとシリカの段階的分離によるワラ類の酸素・弱アルカリパルプ化法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 13556056
研究機関東京大学

研究代表者

飯塚 堯介  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30012074)

研究分担者 新谷 博行  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (30282693)
キーワードリグニン / イナワラ / バイオマス / 化学パルプ / オゾン
研究概要

1.イナワラの利用を阻害する主要因であるシリカついての知見を得るため、化学的・生化学的手法、光学的手法の両面から詳細に検討した。このうち、光学的手法によってイネ細胞壁内面におけるシリカの分布状態およびその形態について極めて詳細な知見を得ることができた。
2.イナワラのアルカリ蒸解(脱リグニン)反応は、通常の木材に比べ著しく反応条件が温和な第1フェーズと、通常の木材と同程度の条件による第2フェーズに分けることができる。オゾン分解法やニトロベンゼン酸化法によるリグニン構造分析の結果、クラーソン法によってリグニンとして定量される物質のうち、80%含水エタノールあるいは希アルカリ水溶液によって容易に抽出される区分のほうがむしろ、木材リグニンに近い構造を有していることが明らかになった。このことは樹木の葉の分析結果と共通しており、イネや葉等の木質化していない植物細胞壁においては、リグニンは存在するものの、細胞をお互いに結び付けている要素としての貢献は少なく、むしろ、他の物質が木材細胞におけるリグニンの役割を担っているのではないか、と想像させた。
3.弱アルカリを用いた酸素脱リグニン法における多糖類の崩壊機構について詳細に検討した。亜硫酸ソーダ酸素脱リグニン法によって極めて高収率でイネワラのパルプ化が進行するのは、この条件では、多糖類の低分子化反応がほとんど進行しないためであることが分かった。
4.亜硫酸ソーダ酸素脱リグニン法を木材の脱リグニンに適用したところ、ほとんど効果がないことが分かった。その結果、上記のようなリグニン構造の特徴にスペシフィックに対応したパルプ化法として亜硫酸ソーダ酸素脱リグニン法が提案された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Hiroyuki Shintani 他2名: "The Structural Characteristics of High Molecular Weight Chlorolignin Produced by Chlorine Bleaching of Kraft Pulps"Japan TAPPI Journal. 57(12). 104-110 (2003)

  • [文献書誌] Zhenfu Jin 他5名: "Changes in lignin content of leaf litters during mulching"Phytochemistry. 64. 1023-1031 (2003)

  • [文献書誌] Takuya Akiyama 他3名: "Ratio of erythro and threo forms of β-O-4 structures in tension wood lignin"Phytochemistry. 64. 1157-1162 (2003)

  • [文献書誌] Hikaru Aimi 他2名: "Structure of small lignin fragment retained in water soluble polysaccharide extracted from MWL isolation residue"J.Wood Science. (in press). (2004)

  • [文献書誌] Iori Tomoda 他2名: "The Role of Alkali-Hydrogen Peroxide during Pulp Treatment"Japan TAPPI Journal. (in press). (2004)

  • [文献書誌] Iori Tomoda 他2名: "Semi-quantitative Method to Evaluate the a-Carbonyl Content in Lignin"J.Wood Science. (in press). (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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