水・光・天然高分子を用いる生分解性機能材料の創成と実用化

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13556057
• 研究機関: 信州大学
• 研究代表者: 大川 浩作 信州大学, 繊維学部, 助手 (60291390)
• 研究分担者: 山本 浩之 信州大学, 繊維学部, 教授 (60021151)
• キーワード: 光化学反応 / バイオミメティック / 水溶性高分子 / ヒドロゲル / 機能材料 / 複合繊維 / 生分解特性 / 環境化学

研究概要

本年度の研究成果を下記に列挙する。総括として、光と水を利用したポリアミノ酸新素材開発、および水溶液界面反応を利用した水溶性高分子複合材料の開発に成功した。さらに、天然多糖複合材料の生分解性評価手法を確立でき、来年度以降の研究展開を可能にする知見が得られた。
1.天然多糖であるキトサンと、合成ポリアミノ酸であるポリグルタミン酸から新たに複合繊維を開発し、その自動連続紡糸装置を作成した。
2.天然多糖およびポリアミノ酸複合繊維の生分解の定量法を開発し、土壌環境に生息する微生物による生分解率を実測した。その結果、上の複合繊維は良好な生分解性を示し、二酸化炭素および水まで完全に分解されることが明らかになった。
3.工業的に大量に生産されている高分子であるポリアクリル酸を用いて、水中界面反応によって、ポリアクリル酸、キトサン複合繊維を創成した。
4.光反応性側鎖を有するポリアミノ酸を合成し、水中での光架橋によって誘起されるヒドロゲル形成法を確立し、その物理化学的性質を評価した。
5.光架橋ポリアミノ酸ヒドロゲルの生分解性を評価した結果、自然環境を汚染しない素材であることを明らかにした。
6.多糖およびポリアミノ酸複合繊維に対する内分泌撹乱物質関連化合物の吸着特性について調べ、環境浄化材料として評価を行った。
上記の成果は、国内外の学会および学術雑誌に発表した。

研究成果

• [文献書誌] K.Ohkawa: "Biodegradation of two polyion complex fibers of chitosan-gellan and poly-L-lysine-gellan by pure-line filamentous fungi"J. Polymers Environment. 8(2). 59-66 (2000)
• [文献書誌] K.Ohkawa: "Polyion complex fiber and capsule formed by self-assembly of, chitosan and poly-L-glutamic acid at solution interfaces"Macromol. Materials Eng.. 286(3). 618-175 (2001)
• [文献書誌] K.Ohkawa: "Photoresponsive peptide and polypeptide systems. 14. Bioderadation of photo-cross-linkable copolypeptide hydrogels containing (L-ornithine) and δ-7-coumaryloxyacetyl-L-ornithine resiues"Macromolecular Bioscience. 1(4). 149-156 (2001)
• [文献書誌] K.Ohkawa: "Preparation of Chitosan-poly(acrylic acid) Composite Fiber by Self-Assembly at Aqueous Solution Interface"Textile Research Journal. (in press). (2002)
• [文献書誌] 大川浩作: "自然に学ぶ複合材料の創成"日本接着学会誌. 37(4). 157-163 (2001)
• [文献書誌] Y.Takahashi: "Adsorption of the endocrine disruptors and related compounds using natural polymer composite fibers formed by polyion complex"Macromol. Materials Engineering. 286(13). 733-736 (2001)