研究課題/領域番号 |
13556058
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂 志朗 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (50205697)
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研究分担者 |
中薗 豊 (株)ロンフォード, 研究開発部, 常務取締役
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キーワード | 超臨界メタノール / 植物油 / バイオディーゼル燃料 / 菜種油 / エステル交換反応 / エステル化反応 / 遊離脂肪酸 / 脂肪酸エステル |
研究概要 |
化石資源のここ150年での急激な利用は、地球の温暖化や酸性雨といった地球レベルでの環境破壊をもたらし、人類の生存をも脅かしかねない状況になっている。このような状況にあって、バイオマス、特にその未利用および残廃資源のエネルギー源や有用物質としての有効利用が注目されている。そこで、本研究では、植物油及び廃食用油の、省エネ的バイオディーゼル燃料への変換プロセスを超臨界メタノールを用いて試み、その実用化に向けての技術体系を構築することを目的とした。 まず、植物油の超臨界メタノール処理条件の検討を行い、その温度、圧力、処理時間とバイオディーゼル燃料(メチルエステル化物)への変換率との相関について検討し、最も効果的な超臨界条件は、350℃、43MPaであるとの結論を得た。また、植物油を構成する各種トリグリセライド及び遊離脂肪酸について、超臨界メタノール条件下でのエステル交換反応およびエステル化反応について詳細な検討を行った。その結果、トリグリセライドはエステル交換反応により、おおむねメチルエステル化物に変換された。また遊離の脂肪酸も超臨界メタノール下、エステル化反応によりメチルエステル化物に変換されることが明らかとなった。さらに、エステル交換反応とエステル化反応の比較では、後者の方が反応速度が大きいことを明らかにした。 原料については、ナタネ油、大豆油、パーム油などの各種植物油やそれらの廃油が利用できるが、トリグリセライドと遊離の脂肪酸含量は原料によって異なる。特に遊離の脂肪酸は、アルカリ触媒法を用いる場合にはアルカリ石鹸となり、バイオディーゼル撚料とすることはできない。しかし、本超臨界メタノール法では、上述のごとく、遊離の脂肪酸をもメチルエステル化物に変換しうることが明らかとなり、本法の優位性が示された。
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