研究課題/領域番号 |
13557005
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
能勢 博 信州大学, 医学部, 教授 (40128715)
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研究分担者 |
松尾 隆和 タバイエスペック(株), 環境設備部, 部長
樋口 京一 信州大学, 医学部, 教授 (20173156)
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キーワード | 高齢者 / 加速度計 / カロリー計 / 運動処方 / 遺伝子検索 |
研究概要 |
我々はヒトが現場で運動した時のエネルギー消費量、運動効率を精度よく簡便に計測するために、半導体加速度センサーを用いて携帯型運動量連続測定装置を開発した。そして、歩行時、ジョギング時の加速度から算出されるX(前後)、Y(左右)、Z(上下)方向の単位時間当たりの力積の和(総力積)が酸素消費量と高い相関を示すこと、歩行速度と総力積(酸素摂取量)との関係から運動効率を評価することが可能であることを明らかにした。次に、これらの結果を高齢者(60歳以上)の歩行時運動効率の測定へ応用し、高齢者が8週間の筋力トレーニングを行うと筋力増加に伴い50メートル歩行時の最大歩行速度、歩行時運動効率が増加することを明らかにした。さらに、平成13年度は、松本市は、40歳以上の熟年者を対象として加齢に伴う運動能低下を防止することを目的に「松本市熟年者健康スポーツ支援センター」を設置した。ヒト携帯型運動量連続測定装置を現場に応用し、センターが実施したプログラムに参加した150名の熟年者を対象に、50メートル歩行、6分間歩行時の運動効率の評価を試みた。その結果、筋力と歩行速度の関係は筋力が大きい人ほど最大歩行速度が高いことを示し(50m歩行、r=0.84、P<0.001、6分間歩行、r=0.81、P<0.001)、40、50、60、70歳代それぞれの平均値からも両者の関係は明らかに加齢の影響を受けた。筋力と歩行効率の関係も筋力が大きい人ほど歩行時運動効率が高かった(50m歩行、r=0.50、P<0.001、6分間歩行、r=0.47、P<0.001)。これら、横断的な研究で得られた結果は、8週間の筋力トレーニングから得られた結果と一致した。以上の結果から、本研究で開発した装置は、フィールドでカロリー消費量、運動効率を測定するのに有用であり、今後、高齢者を対象とした運動処方とその判定に威力を発揮することが期待できる。
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