研究課題
我が国には約700万人以上の糖尿病患者がおり、人類がかかえる最も頻度の高い遺伝病の一つである。近年、4大疾患の一つに指定され、その対策が緊急の課題となっている。この治療にはインスリン注射に代わる卓越した経口血糖降下剤はなく、その開発が強く望まれている。一方、最近公開されたゲノム情報をいかに有用な薬の開発に利用するかが、創薬の重要な課題となっている。インスリン作用は一過性であり、患者は一日に数回インスリン注射を必要とし、負担も大きく、いずれは血糖調節不良に陥り、腎疾患、失明、血管障害を起こす。新しい経口糖尿病薬発見が強く望まれており、その貢献度は日本のみならず全世界の糖尿病患者に及ぶ大きなものである。本研究は従来までの申請者らの研究成果に基づき、ゲノム情報を利用して、新規インスリンシグナル伝達因子を発見し、それをターゲットとした新規糖尿病治療薬を開発することを目的とする。インスリンを刺激した培養細胞よりタンパク質を抽出し、抗ホスホチロシン(pY)抗体カラムを用い、リン酸化タンパク質を精製し、電気泳動により分離する。銀染色により可視化し、その単離スポットを切り出す。その切り出されたタンパク質をゲル内でトリプシン消化し、その消化後の各ペプチドを高速液体クロマト法(HPLC)にて単離し、そのペプチドの一部アミノ酸配列を質量分析機(ESI/MS/MS)により決定し(de novoシークエンス、タンデム解析)、ゲノムおよびcDNAのデーターベースとの照合により最終的にそのタンパク質のcDNAをクローニングすべく解析を進めている。
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