• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2002 年度 実績報告書

リバース・ジェネティクス法によるインフルエンザ生ワクチンの開発

研究課題

研究課題/領域番号 13557023
研究機関東京大学

研究代表者

河岡 義裕  東京大学, 医科学研究所, 教授 (70135838)

研究分担者 高田 礼人  東京大学, 医科学研究所, 助手 (10292062)
五藤 秀男  東京大学, 医科学研究所, 助手 (50323639)
堀本 泰介  東京大学, 医科学研究所, 助教授 (00222282)
大隈 邦夫  財団法人化学血液療法研究所, 第一製造部部長(研究職)
キーワードA型インフルエンザウイルス / 生ワクチン / リバース・ジェネティクス / M2膜蛋白質
研究概要

ワクチンは感染症の予防にとって最も有効な手段の一つである。現在、我が国で使用されているインフルエンザワクチンは不活化ワクチンで、症状の重篤化は防止するが感染そのものの防御効果には限界がある。一方、最近アメリカではインフルエンザに対する弱毒生ワクチンが認可された。この弱毒生ワクチン株は自然変異によって弱毒化したインフルエンザウイルスであり、変異しやすい本ウイルスでは病原性復帰の危険性がある。本研究は、インフルエンザウイルスの人工合成系(リバース・ジェネティクス)を用いて、より安全で効果的なインフルエンザワクチンの開発を目的とした。
我々はM2蛋白質の膜貫通領域を欠損させた変異インフルエンザウイルスをリバース・ジェネティクスを用いて作製した(昨年度報告、J. Virol.75,5656-5662)。この変異ウイルスをBALB/cマウスに感染させ、2週間後、鼻腔及び肺洗浄液を調べたところインフルエンザウイルスに対するIgGおよびIgAの抗体価が上昇していた。次にこのM2変異ウイルスのワクチン効果を調べるため、M2変異ウイルスをBALB/cマウスに接種後、2週間後、1ヶ月後、3ヶ月後に野生株で攻撃した。3日後、肺のウイルス力価を測定したところ、M2変異ウイルスで免疫したマウスでは10^2PFU/gであったのに対して、免疫していないマウスでは10^7PFU/gであった。また、免疫していないマウスは野生株による攻撃後、8日目までにすべて死亡したのに対し、免疫したマウスは14日後も全て生存していた。
以上の結果からリバース・ジェネティクスを用いることによりインフルエンザワクチン候補株を作製できることが証明された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Watanabe T, Watanabe S, Kida H, Kawaoka Y: "Influenza A virus with defective M2 ion channel activity as a live vaccine"Virology. 299. 266-270 (2002)

  • [文献書誌] Watanabe T, Watanabe S, Neumann G, Kida H, Kawaoka Y: "Immunogenicity and protective efficacy of replication-incompetent influenza virus-like particles"Journal of Virology. 76. 767-773 (2002)

  • [文献書誌] Neumann G, Kawaoka Y: "Reverse genetics of influenza virus"Virology. 287. 243-250 (2002)

  • [文献書誌] Neumann G, Kawaoka Y: "Generation of influenza A virus from cloned cDNAs-historical perspective and outlook for the new millennium"Review of Medical Virology. 12. 13-30 (2002)

  • [文献書誌] Neumann G, Kawaoka Y: "Synthesis of Influenza Virus : New Impetus from an Old Enzyme, RNA Polymerase I"Virus Research. 82. 153-158 (2002)

  • [文献書誌] Neumann G, Whitt MA, Kawaoka Y: "A Decade After the Generation of a Negative-Sense RNA Virus From Cloned cDNA-What Have We Learned?"Journal of General Virology. 83. 2635-2662 (2002)

URL: 

公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi