研究課題/領域番号 |
13557025
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
渡邊 武 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (40028684)
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研究分担者 |
末松 佐知子 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (50250345)
松田 武久 九州大学, 医学研究院, 教授 (60142189)
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キーワード | 人工リンパ組織 / 組織工学 / ケモカイン / ストローマ細胞 / 免疫不全症の治療 / 重傷感染症の治療 / 腫瘍免疫 |
研究概要 |
本研究は、近年進歩の著しい組織工学と生体適合性を備えた高分子材料を用いて、人工リンパ節を作製することにより、様々な免疫不全状態に対する治療に応用することを最終目的としている。我々は、(1)生体適合性高分子材料による三次元構造骨格、(2)リンパ節ストローマ細胞を代替する細胞、さらに、(3)リンパ球をリンパ節にホーミングさせるケモカイン、の三要素を組み合わせてハイブリッド型人工組織を作製することにより、人工リンパ節を構築できると考えて研究を進めている。我々の教室で樹立したマウス胸腺由来ストローマ細胞(TEL-2)に、リンパ節の形成に重要と考えられている数種類のケモカイン遺伝子を導入し、それぞれ安定発現株を樹立した。それらのケモカイン産生TEL-2細胞株を、生体適合性高分子材料に付着させてハイブリッド組織を作製した後にマウス腎皮膜下に移植し、3週間後に組織を回収して組織学的解析を行った。ケモカイン産生TEL-2細胞を用いたハイブリッド組織には、遺伝子を導入していない親株のTEL-2細胞から成るハイブリッド組織に比較して、有意に多数のリンパ球が集積することを観察した。さらに、免疫組織染色により、ケモカイン産生ハイブリッド組織には、一部でT細胞集団と正常リンパ節の一次濾胞に類似したB細胞集団が形成されることを確認した。また、そのような細胞集団を有するハイブリッド組織には、リンパ節の正常な機能の発現に必須であると考えられているリンパ節構成細胞である樹状細胞も存在することが分かった。今後は、他のストローマ細胞や高分子材料を用いて、より効率良くハイブリッド人工組織内にT細胞、B細胞集団を形成する条件、さらには、抗原刺激により胚中心を形成させ得る条件を検討していく予定である。
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