研究課題/領域番号 |
13557030
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
川西 正祐 三重大学, 医学部, 教授 (10025637)
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研究分担者 |
平工 雄介 三重大学, 医学部, 助手 (30324510)
及川 伸二 三重大学, 医学部, 講師 (10277006)
村田 真理子 三重大学, 医学部, 講師 (10171141)
川西 美知子 京都大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60025616)
平川 和貴 三重大学, 生命科学研究支援センター, 助手 (60324513)
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キーワード | がん化学予防 / DNA損傷 / 活性酸素 / 安全性評価 / 有効性評価 / 抗酸化物質 / カテキン / イソフラボン |
研究概要 |
がんは予防可能な疾患である。わが国では悪性新生物が死因の第一位を占め、がんの化学予防を含む第一次予防が重要である。野菜や果物に含まれるビタミン類やフラボノイド類などは発がん抑制への寄与が期待されている。一方、疫学介入調査ではβ-カロチンが予期に反し喫煙者の肺がんの罹患率を増加させた。我々はβ-カロチンおよびクルクミンの代謝物が酸化的にDNAを損傷し、発がんに関与する可能性を報告した。一方、フィチン酸およびルテオリンはDNA損傷性を示さない有効ながん予防物質であることを見いだした。本研究では上記の研究を発展させ、がん化学予防を安全かつ有効に推進する方法の確立を目指して、化学予防物質のDNA損傷性および遺伝子発現解析の基盤となる研究を行った。緑茶にはがん予防効果があり、エピガロカテキンガレートなどのカテキン類が発がん抑制効果をもたらすと考えられている。一方、緑茶消費と発がんには正の相関があるという疫学調査がある。本研究では、カテキン類がヒト培養細胞で酸化的DNA損傷をもたらすことを明らかにした(Biochem.Pharmacol. 2003, Free Radic.Res. 2003)。大豆食品の摂取は、前立腺癌の抑制、循環器系疾患および骨粗鬆症の予防等の作用を有し、大豆イソフラボンががん予防物質として注目されている。一方、大豆イソフラボンのゲニステインやダイゼインは、動物実験で子宮癌や外陰部癌を起こすことが報告されている。本研究では、これらの代謝物が遺伝子損傷を介したイニシエーション、それ自身が細胞増殖を介したプロモーションに関与し、両者が協働的に作用して発がんをもたらす可能性を示した(Biochemistry 2004)。また我々は抗酸化物質による遺伝子発現を蛋白レベルで解析すべく、ペプチドマスフィンガープリンティングによるプロテオーム解析法を確立しつつある。本研究で確立した遺伝子損傷検出法およびプロテオーム解析法を基盤としたシステムはがん化学予防物質の安全性および有効性の評価法として応用可能であると考えられる。
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