研究代表者が開発したレトロウイルスベクター系による効率の良いシグナルシークエンストラップ法SST-REXを利用して、マスト細胞の不活化に関与しうる分泌蛋白質あるいは膜蛋白質の同定を試みた。 未知のクローンのうち、抑制型NKレセプターに相同性を有する免疫グロビンスーパーファミリーに属するI型膜蛋白質LMIR-1に注目した。LMIR-1に相同性を有するLMIR-2、3、4、5、6を同定し、これらの分子のうち、LMIR-1とLMIR-3は細胞内ドメインにITIMモチーフを有する抑制型レセプターであるのに対して、LMIR-2、4、5、6は細胞内部位が短く、膜貫通部位に親水性アミノ酸を有し、DAP10、DAP12、FcRγというITAM(免疫活性)モチーフを有する活性化レセプターと会合するレセプターであることが判明した。現在までに各LMIR分子に対する単クローン抗体を作成し、LMIR-1は脱リン酸化酵素SHP1、SHP2およびSHIPのリン酸化を介して抑制のシグナルを、またLMIR-2はDAP10、DAP12、FcRγと会合することにより活性化のシグナルを細胞内に送ることを明らかにした。今後、レセプターのリガンドの同定やノックアウトマウスの作成を行うことによって、レセプターの生理的役割を明らかにしていきたい。
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