研究概要 |
本年度は慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対して、抗炎症作用を期待した吸入ステロイド剤の投与と、肺気腫の外科的治療としての気腫肺減量術(LVRS)の有効性を、CT画像による気腫病変と気道病変の程度を評価しながら効果判定をするプロジェクトを開始した。さらにCOPDにおいて、気管支粘膜生検、末梢気道被覆液サンプリングを施行し、得られた資料のサイトカインなどの発現量を免疫染色法、in-situ hybridizationにより測定するシステムを立ち上げている。 1)吸入ステロイド剤の吸入 randomized, double blind, placebo controlled stydyとした。対象は1秒率が70%以下、気管支拡張剤(salbutamol)投与後の%1秒量が80%以下のCOPD症例とした。気管支拡張剤を服用している場合はそのまま継続とした。ステロイド剤服用者は対象から除外した。開始前に、一般肺機能、胸部CTを施行した。また対象の一部に気管支粘膜生検およびマイクロサンプリング法による末梢気道被覆液サンプリングを施行する。randamizeした投与群にはfluticazone propionate500μgをMDIにて2回/day吸入させ、placebo群にはplacebo吸入をさせた。2ヶ月毎に肺機能検査、6ヶ月毎に胸部CT撮影を行った。 2)LVRS LVRS直前、術後3ヶ月、術後6ヶ月、以後6ヶ月毎に肺機能・運動能力・HRQOLの測定、胸部CTの撮像を行う。経過観察は3年間とする。 3)気道被覆液採取およびサイトカイン測定システムの立ち上げ 気道被覆液を採取するマイクロサンプリング法の手技を確立した。また、気道粘膜面、末梢気道被覆液中の炎症細胞浸潤をHE染色で、IL8、IL15、TGFβなどのサイトカインや接着分子を免疫染色、in situ hybridizationで定量的に評価するシステムを整備した。
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