研究分担者 |
陳 和夫 京都大学, 医学研究科, 助教授 (90197640)
平井 豊博 京都大学, 医学研究科, 助手
室 繁郎 京都大学, 医学研究科, 助手 (60344454)
月野 光博 京都大学, 医学研究科, 助手 (40293956)
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研究概要 |
(1)COPDにおいて、私共の開発したCT画像自動解析法で弁別した、気道病変優位群と肺気腫肩変優位群での誘発喀疾の差異の検討を行っている。現在、1秒率(FEV1/FVC)70%以下の慢性閉塞性肺疾患患者と、対照群健常喫煙者が36例蓄積されている。うち、誘発痰を施行した症例は20例、高分解能CT施行例は31例である。予備実験では、気道病変優位群(平均WA%74.7、LAA%15.6))においては、誘発痰のマクロファージが51.7%、好中球29.0%、リンパ球9.3%、単球8.8%、好酸球0.5%であった。気腫病変優位群(WA%54.9、LAA%48.0)では、好中球が88%、マクロファージ5.25%、リンパ球0.68%、好酸球1.0%であった。両群においてはFEV1,FEV1%,%FEV1は同等であったが、DLCOは気腫優位群で低値を示した。気腫優位群においては、肺野面積が低下しているため、肺胞由来のマクロファージの回収量が減少していることが示唆された。気道病変優位群においては、好中球、リンパ球の増多を認めた。今後、症例数を増やし、誘発痰中のサイトカイン発現を検討する予定である。 (2)安静呼吸下に呼吸抵抗の周波数特性を計測できる、Impulse oscillation system (IOC)を用いて、COPD患者の病変部位の分別が可能であるかどうか検討を行っている。検討対象患者全体のR35(35Hzでの呼吸抵抗値:比較的中枢気道を反映)の平均値(0.27kPa/L/s)を基準に群分けを行い,R35高値(HighR35)群と低値(LowR35)群とでは,患者背景や,フローボリューム曲線上の閉塞性障害の各指標については群間に有意差を認めなかった一方で,気腫性病変の指標である肺拡散能,さらに画像解析におけるLAA%について群間に有意差を認め,HighR35群がLowR35群に比較して有意に気腫病変が軽度であった。気道病変の指標としてのWA%は,R35と有意な正の相関を示し,R35が気道病変を反映することが示された。よってR35高値群が気道病変優位群,R35低値群は気腫病変優位群を反映し,R35の高低が2群の分別評価に利用出来ることが示された。
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