研究概要 |
平成14年度には,M8アナライザーによるスクリーニング法の確立と,私達が発見し,現在,間質性肺炎の診断と疾患活動性の血清マーカーとして我国の医療保険で診断薬として承認されているKL-6分子に反応するモノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングを実施した.M8アナライザーはルテニウム錯体に電流を流し,錯体を発光させることにより,従来のradioimmunoasssayや酵素抗体法に比べて,極めて微量な物質を検出することができ,しかも反応時間の短縮が可能な電気化学発光測定法をコマーシャルベースで可能にした汎用器である. M8アナライザーは平成13年度に購入したが,本邦2台目であり,その調整とスクリーニング法における指摘条件の決定に予想以上の時間がかかった.調整には,IGEN社から技師の派遣を得て,実用に供すことができた.また,スクリーニング法は,ハイブリドーマ培養上清中のモノクローナル抗体を効率的にスクリーニングできる免疫測定法である,私達が開発し報告してきた逆間接サンドイッチ抗体法(reversed indirect sandwitch assay : RISA)である.M8アナライザーを使用した電気化学発光免疫測定法を応用したRISAの検出限界は,酵素抗体法を使用したRISAであるRI-ELISAの検出限界に比べて約10倍低濃度であり,測定時間を半減することができた. 現在,オリジナルのKL-6測定系とは異なる反応を示すハイブリドーマを数クローン得ており,平成15年度にはそれらの性状の解析を行うと同時に,更に細胞融合を繰り返し,間質性肺炎あるいは肺癌に対して,KL-6よりもそれおれ特異度の高いモノクローナル抗体のスクリーニングを行う予定である.
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