研究課題/領域番号 |
13557052
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
前澤 博 徳島大学, 医学部, 教授 (00138653)
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研究分担者 |
芳地 一 徳島大学, 医学部附属病院, 助教授 (00219156)
小山 一 徳島大学, 医学研究科, 助教授 (80109074)
佐野 壽昭 徳島大学, 医学部, 教授 (80154128)
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キーワード | ヒト気道トリプシン様酵素 / プロテアーゼ / IL-8 / 気道上皮細胞 / PAR-2 / PAR-2 agonist / 細胞増殖促進 / カルシウムイオン |
研究概要 |
1.HATによるprotease-activated receptor (PAR)の活性化 (1)ヒト気管支上皮細胞(HBEC)を培養し、この細胞におけるPAR-1、PAR-2、PAR-3およびPAR-4のmRNAの発現を逆転写PCR法で検索したところ、PAR-2mRNAの発現のみが検出された。 (2)HBEC細胞を200μM以上のPAR-2 agonist peptideで刺激すると、細胞内遊離Ca^<2+>の濃度変化には、(1)急峻に上昇し、2-5分の経過で消失する高振幅、スパイク状の上昇(peakI)と、(2)5-10分後に出現し持続する低振幅性の上昇(peakII)がみられた。100-150μM以下のPAR-2 agonist peptide刺激ではpeakIIのみ出現した。 (3)200milliunit(mU)/ml以上のHATで刺激した場合には、高濃度のPAR-2 agonist peptideで刺激した場合と同様に、peakIとpeakIIの2相性の細胞内遊離Ca^<2+>の上昇がみられた。100-150mU/ml以下のHAT刺激では、peak Iはみられず、peak IIのみがみられ15た。 (4)PAR-2 agonist peptideによる脱感作がみられた。HBEC細胞内遊離Ca^<2+>濃度は、PAR-2 agonist peptideあるいはHAT刺激の5分後に、再びagonist peptideあるいはHATで刺激しても、上昇しないかあるいは極めて軽度の上昇しかみられなかった。 2.HATによるヒト気管支上皮細胞(HBEC)におけるIL-8合成促進機序の解析 (1)HATおよびPAR-2 agonist peptideで、IL-8mRNAの発現、IL-8放出の亢進がみられた。 (2)HATおよびPAR-2 agonist peptide刺激によるIL-8mRNAの発現とIL-8放出の亢進は、EGFR tyrosine kinase阻害物質、抗EGFR抗体、MAP kinase阻害物質などにより阻害された。 (3)Western blot解析で、HATおよびPAR-2 agonist peptide刺激で、EGFRおよびMAP kinaseのリン酸化、すなわち活性化がみられた。 3.以上の成績から、HATは「PAR-2の活性化⇒transactivationによるEGFRの活性化⇒MAP kinaseの活性化」を介する機序で、HBECにおけるIL-8の合成を促進していると考えられる。
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