1.抗増殖剤であるドキソルビシン(DOX)を含有したナノカプセルであるNK911は、ラット頸動脈バルーン傷害モデルにおいて、バルーン傷害後の内皮剥離部位に選択的に集積し、DOXを局所に放出することを確認した。 2.このNK911を、ラットの頸動脈バルーン傷害直後、および3・6日目に静脈内投与したところ、対応するDOX単独投与群に比して、4週間後の血管病変形成(内膜肥厚)が著明に抑制されることを明らかにした。また、体重・血液所見・肝腎機能などへの副作用も認められないことを確認した。したがって、このNK911を用いたナノ治療は、冠動脈形成術後の再狭窄病変の抑制に有用である可能性が示された。 3.内皮前駆細胞を用いて被覆化したステントを開発し、同ステントを用いると血管表面の内皮化が促進されることを明らかにした。 4.Evans blueが内皮剥離部位に選択的に集積することに着目し、従来のMRI用造影剤にEvans blue骨格を結合させた機能化造影剤を、世界で初めて開発した。この機能化造影剤は、摘出血管の内皮剥離部位を描出するだけではなく、生体内においても、ラット頸動脈のバルーン傷害部位を描出することを明らかにした。
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