研究概要 |
シンチレーションカメラの固有空間分解能は有限である.これを打破するためには,コリメータで被写体像を拡大して収集を行えばよい.このとき被写体からのγ線はシンチレーションカメラに入射する際,軌跡がコーンビーム状となる.そのためのコリメータにはピンホールコリメータおよびコンバージングコリメータがある.そこで今回コンバージングコリメータを使用した場合,空間分解能が向上することを確かめるために平行多孔型コリメータと比較した.使用したコンバージングコリメータの焦点距離は20cmと,従来臨床に使用されていたタイプに比べ格段に短いものであった.画像評価法は矩形型レスポンス関数による定量評価とした.コンバージングコリメータおよび平行多孔型コリメータそれぞれにおいて,鉛バーファントム(間隔6.0,4.2,3.5,2.8mm)をコリメータ表面から2cm離して撮像した.面線源にはTc-99mを封入した.そして各バー間隔におけるプロファイルカーブを得た.ピークと谷間のカウントを測定し,コントラストを計算した.これらの値から矩形波レスポンス関数を得た. 全てのバー間隔において,コンバージングコリメータのほうがコントラストは高かった.特にバー間隔2.8mmにおいて,コンバージングコリメータは平行多孔型コリメータの2倍近いコントラストを示した. 空間分解能め評価法で広く行われているものに,線線源による線広がり関数がある.しかし核医学機器で使用する線線源は,ある程度の直径(1mm)を持つ.そのため拡大撮像された場合,線源の径自体も拡大され,測定値(半値幅,変調伝達関数)に影響を与える.値としては過小評価される.しかし今回応用した矩形型レスポンス関数は,鉛バーファントムを撮像したものから求めており,コンバージングコリメータの性能を過小評価せずに平行多孔型コリメータと比較することに成功した.
|