研究課題/領域番号 |
13557077
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研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
石渡 喜一 (財)東京都老人総合研究所, ポジトロン医学研究部門, 主任研究員 (50143037)
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研究分担者 |
木村 裕一 (財)東京都老人総合研究所, ポジトロン医学研究部門, 主任研究員 (60205002)
成相 直 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学研究科, 助手 (00228090)
石井 賢二 (財)東京都老人総合研究所, ポジトロン医学研究部門, 研究助手 (10231135)
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キーワード | シグマ受容体 / ポジトロン断層法 / 加齢 / 神経変性疾患 / 脳腫瘍 |
研究概要 |
1.加齢に伴うサル脳シグマ1受容体の測定 5〜8歳および24〜28歳の2グループのサルに、シグマ1受容体に選択的な放射性薬剤[^<11>C]SA4503も受容体結合能を測定した。シグマ1受容体は脳全域に分布し、海馬等での結合能が高いことがわかった。また、これまで多くの神経受容体が加齢に伴い減少するのとは異なり、加齢により結合能が亢進しることがわかった。 2.臨床研究 初めにフェーズ1に相当する[^<11>C]SA4503によるPET測定を若齢健常者5名に施行し、診断検査法としての安全性を確認した。 PET測定データと、血漿中代謝物をHIPL分析して得た入力関数を用いたコンパートメント解析により、ヒトの脳でもシグマ1受容体を測定できることが明らかになった。サル脳と同様に受容体は脳全域に分布し、海馬等での結合能が高いことがわかった。 健常高齢者(64〜71歳)6名に[^<11>C]SA4503-PETを施行した。サルほど顕著な傾向は認められなかったが、部位によりシグマ1受容体の結合能が亢進する傾向が認められた。 アルツハイマー病息者(AD、71〜79歳)6名に[^<11>C]SA4503-PETと[^<18>F]FDG-PETを施行した。AD特有の代謝の低下と一致した受容体の結合能が低下したが、代謝に比べ軽度であった。次年度以降さらに症例数を重ねて加齢やADのシグマ1受容体診断意義を明らかにする。 3.新たな放射性薬剤の合成・開発 [^<11>C]SA4503の^<18>F標識類似体として[^<18>F]FE-SA4503を合成した。この薬剤はシグマ1よりシグマ2受容体により選択性であった。マウス、ラットおよびサルによる検討で[^<11>C]SA4503同様にインビボで優れた性質を示し、癌診断への可能性が示唆された。
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