研究課題/領域番号 |
13557080
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
千葉 滋 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (60212049)
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研究分担者 |
高橋 強志 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (70332608)
小川 誠司 東京大学, 医学部附属病院, 客員助教授(常勤形態) (60292900)
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キーワード | NKT細胞 / CD1d / Tリンパ芽球性白血病 / リンパ腫 / α-galactosyl ceramide |
研究概要 |
Natural killer T (NKT)細胞は、NKレセプターとT細胞レセプターとを同時に発現する細胞である。NKT細胞上のT細胞レセプターは、MHCには拘束されず、CD1dに拘束されて活性化されると考えられている。NKT細胞が一部の細胞に対して抗腫瘍活性を示すことは知られていたが、報告者らの平成14年度までの研究で、未熟T細胞系腫瘍が高頻度にCD1dを高発現すること、未熟T細胞性腫瘍株及び患者から分離したTリンパ芽球性白血病/リンパ腫の多くがCD1d分子を発現すること、CD1d発現依存性にこれらの細胞がVα24NKT細胞の標的となり、Vα24NKT細胞が直接的な殺細胞効果を示すことを示した。また患者末梢血から十分な数のVα24NKT細胞を増幅することができた。このことから、NKT細胞を利用し、T前駆細胞性腫瘍を標的とした新しい抗腫瘍療法の可能性が考えられた。 この可能性をさらに検討するため、マウスT前駆細胞リンパ腫由来の細胞株であるEL-4を用いた、NKT細胞のin vivo抗腫瘍モデルを作成した。すなわち、CD1dを低レベルにしか発現していない親株EL-4に、CD1d cDNAを導入し、CD1d発現レベルの異なるEL-4細胞株を数種類樹立した。高発現・中発現の細胞株をそれぞれ複数用意し、これを同系のB57BL/6マウスに静注し、生存解析した。CD1d発現レベルの高いEL-4細胞ほど、in vitroでのNKT細胞による殺細胞効果が高く、高発現のEL-4を移植されたマウスほど長期間生存した。内因性のNKT細胞がCD1dを介して腫瘍増植に抑制的に働いたものと考えられた。この排除はα-galactosyl ceramideにより増強されることを確認した。
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