研究分担者 |
大久保 総一朗 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (20301856)
成田 一衛 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (20272817)
清水 不二雄 新潟大学, 医学部, 教授 (40012728)
太田 陽介 (株)国際試薬, 研究開発部, 研究部長(研究職)
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研究概要 |
蛋白尿発症原因分子であるnephrinを指標とした診断法の確立を企図して研究を行なった。初年度(平成13年度)は,(1)各種実験モデルにおげるnephrin並びにnephrin関連蛋白であるpodocin, CD2AP, ZO-1の動態の詳細な解析。(2)これら蛋白の発現低下と増殖性糸球体病変進行との関連についての検討。(3)腎生検材料における、これら蛋白の発現についての解析を行った。 (1)微小変化型ネフローゼ症候群のモデルであるPAN腎症、膜性腎症のモデルであるHeymann腎炎、メサンギウム増殖性腎炎のモデルであるThy1腎炎におけるnephrin並びにnephrin関連蛋白の糸球体での発現を、免疫組繊学的方法、RT-PCR法を用いて検討した。また、尿中でのこれら蛋白の発現はWestern blot法で解析した。nephrin, podocinは、正常糸球体では、係蹄壁に沿った微細顆粒状の連続したパターンで観察されるが, PAN腎症、Heymann腎症において、蛋白尿発症時nephrin, podocinは、粗大顆粒状の不連続なパターンとして観察された。これらの病態で、蛋白尿発症時、尿中にnephrinが排泄されていることを確認した。これら研究結果の一部は、平成13年10月米国サンフランシスコにおいて開催された世界腎臓学会にて報告した。また,Heymann腎炎を中心とした解析結果は、平成14年日本腎臓学会総会にて報告予定である。(2)微量のPAN投与では、蛋白尿を惹起し得ないが、nephrin発現を低下させることを観察した。nephrin発現を低下させた群ではThy1腎炎は進行し、不可逆性の病態となることを証明した。これらの研究結果はKidney Internatial誌2001年12月号にまとめた。(3)微小変化型ネフローゼ症候群症例の部でnephrin発現が低下していることを証明した。これら一連の研究結果は, 2002年9月開催の第4回糸球体上皮細胞に関する国際シンポジウムにて報告予定である。
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