研究課題/領域番号 |
13557085
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松尾 清一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70190410)
|
研究分担者 |
西川 和裕 愛知医科大学, 医学部, 講師 (30301625)
森田 良樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 助手 (10335044)
|
キーワード | 補体 / アナフィラトキシン / C5a / 遺伝子導入 / カルボキシペプチダーゼR / ラット / 糸球体腎炎 / 抗GBM抗体 |
研究概要 |
C5aの末端のアルギニンを切断することでC5aの生理活性を飛躍的に弱めるアルギニン特異的カルボキシペプチダーゼ(CPR)が、抗アナフィラトキシン薬として使用できる可能性について、ラットのアナフィラトキシン依存性疾患モデルを用いて検討を行った。その研究の結果、以下の点が明かになった。(1)生体への遺伝子導入をラットを用いて基礎実験を行った。その結果、尾静脈から逆行性に遺伝子を注入して肝臓に発現させる方法、腎静脈からやはり逆行性に遺伝子を注入して腎間質細胞に発現させる方法、いずれにおいてもそれぞれ肝臓および腎間質に遺伝子が導入された。(2)尿細管における遺伝子発現を抑制するために、アンチセンスODN(oligodeoxyribonucleotide)を静注すると比較的効率的に遺伝子発現がコントロールできることが明らかになった。(3)以上の方法で実際に様々な腎炎惹起性物質(ケモカインや成長因子等)の強発現ないし抑制を行うことで病状に有意な変化をきたすことができることが明らかになった。(4)ラットCPRの場合は、腎臓への遺伝子導入では有為な血中濃度の上昇は見られず、糸球体障害に対しても治療的効果は見られなかった。尾静脈から遺伝子を肝臓に導入する方法を用いた場合には、CPR血中濃度は約2〜4倍に上昇したが、やはりC5a依存性糸球体障害に対する影響は極めて限られたものであった。その原因としては、ラット(ヒトも含めて)血中にはすでにかなりの量のCPRが存在しているために2〜4倍程度の濃度上昇では十分な効果が得られなかったか、あるいは用いたCPR事態は末端にアルギニンが結合しているpro体であるため、活性が十分に発揮されていない可能性が考えられた。今後の方向性としては、活性化CPRをベクターに組み込んで同様の実験を行う必要があると考えられた。
|