研究分担者 |
坂田 義行 山口大学, 医学部, 講師 (10034927)
奥山 茂 大正製薬株式会社, 医薬事業企画部, マネージャー(研究職)
石田 佳幸 山口大学, 医学部, 助手 (20325210)
劉 穎 山口大学, 医学部, 助手 (40335724)
|
研究概要 |
妊娠中のラット母体に軽度ストレスを負荷すると、短時間のストレス負荷(1日30分間の拘束ストレスを妊娠15-17日の3日間負荷、以下では30分ストレス群と呼ぶ)では胎仔脳ニューロンの形態はtrophicな変化を示すが、長時間のストレス(1日4時間の拘束、以下では4時間ストレス群と呼ぶ)では逆にtoxicな変化を示した。これらの結果に基づいて、私たちは、特に30分ストレス群動物の成熟後の記憶・学習行動実験を行い、これら動物の学習効果が有意に亢進することを明らかにした。 本研究では、上記のような研究成果をもとに海馬ニューロンの分化・発達と生後の記憶・学習の亢進にかかわる遺伝子を同定するために、DNAチップを用いて検討を行った。30分ストレス群、240分ストレス群、対照群の3群における遺伝子の発現をDNAチップ(各群3枚)で検索した。使用したDNAチップは、Affymetrix社製のRat Genome U34Aで約8800遺伝子を含むものであった。解析した遺伝子の内訳は、receptor (808), channel (187), transporter (138), enzyme (1822), kinase (382), phosphatase (129), transcription factor (57)等である。実験では、胎仔の全脳あるいは海馬からtotalRNAを抽出して解析した。遺伝子発現の再現性、強度、有意な変動の基準によって注目すべき遺伝子をランク付けした。さらに、対照群に比べて、30分ストレス群及び240分ストレス群で増加あるいは減少する遺伝子(5〜20遺伝子)をリストアップした。海馬における有力な遺伝子の中には、神経栄養因子、アルツハイマー病関連遺伝子、神経細胞のガイダンスに係わる遺伝子等が含まれていた。また、全脳と海馬では、変動を示す遺伝子が大きく異なっていた。
|