研究課題/領域番号 |
13557089
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小川 佳宏 京都大学, 医学研究科, 助手 (70291424)
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研究分担者 |
泰地 睦夫 住友製薬, 創薬第二研究所, 主任研究員
細田 公則 京都大学, 人間環境学研究科, 助手 (40271598)
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キーワード | BDNF / レプチン抵抗性 / 糖代謝 / KKA^yマウス / 高脂肪食負荷 / レプチン |
研究概要 |
ヒトやげっ歯類の肥満の病態において血中レプチン濃度の上昇が認められるため、レプチン作用障害の状態として、"レプチン抵抗性"という新しい概念が提唱されている。 我々は、脳由来神経栄養因子(以下BDNF)が神経系に加えて糖代謝の制御にも関与することを見出し、レプチンレセプター異常により肥満、高血糖を呈するdb/dbマウスに対し血糖降下作用と摂食抑制作用を示すことを報告した。本研究では、高脂肪食を負荷し後天的にレプチン抵抗性、糖代謝異常を惹起した高脂肪食負荷マウス(DIOマウス)と遺伝的にレプチン抵抗性を呈することが知られているKKA^yマウスの2種のレプチン抵抗性モデル動物におけるBDNFの効果を検討した。DIOマウスにBDNF或いはレプチンを腹腔内投与すると、溶媒投与群と比較して、BDNF投与群では摂餌量が有意に減少した。一方、レプチン投与群では摂餌量に対する作用は認められなかった。標準飼料を与えたマウスに対してレプチン投与により摂餌量の減少が認められたが、BDNF投与による影響は小さかった。次にDIOマウスに対してBDNFを6日間連日投与し、糖代謝に対する作用を経口糖負荷試験により評価した。その結果、BDNF投与群においては顕著な糖代謝改善作用が認められたが、BDNF投与群と同量の摂餌量になるように給餌量を制限した溶媒投与群においては作用が認められず、BDNFによる糖代謝改善作用は摂餌量が減少したことによるのではないことが分かった。また、BDNFはKKA^yマウスに対しても抗肥満および抗糖尿病作用を示すことが明らかになった。以上より、BDNFはレプチン抵抗性を呈する肥満および糖尿病に対して有用であることが示唆された。
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