研究分担者 |
南竹 義春 サントリー(株), 医薬開発研究所・プロセス開発, 主席研究員
林 友二郎 サントリー(株), 医薬開発研究所・開発薬理, 主席研究員
寒川 賢治 国立循環器病センター, 生化学部, 部長(研究職) (00112417)
坂田 恒昭 塩野義製薬, 創薬研究所, 主席研究員
|
研究概要 |
申請者らがヒトおよびラットの胃から発見したグレリンは、成長ホルモン分泌促進および摂食冗進作用をもつ新しい生理活性ペプチドである。グレリンは3番目のアミノ酸セリンが、脂肪酸であるオクタン酸によって修飾されており、しかもその修飾基の存在が活性発現に必要という、これまでに知られていない構造をしている。申請者らはグレリンを内分泌・代謝性疾患の診断および治療に応用するため、本年度中に次のような研究を行った。 1,グレリンの脳室内投与によって強力な摂食冗進作用を示すを明らかにした。ラット脳質内へグレリンを慢性投与すると、ラットの脂肪組織は増大し、体重が増加した。このグレリンの摂食亢進作用はニューロペプチドYを介しての作用であった。 2,摂食障害、たとえば神経性食欲不振症やカヘキシアの患者では血中グレリン濃度の上昇が見られ、その程度は病態の重症度とよく相関した。このようにグレリンは成長ホルモン分泌調節だけでなく、代謝・エネルギー調節に深く関与するホルモンであることが明らかになった。 3,グレリン・ペプチドをプロテアーゼで部分分解し、精製したペプチド断片のグレリン受容体に対する活性を調べた。その結果グレリンの活性中心はN末端4残基で、脂肪酸の修飾が活性に必要であることが確認された。 4,脂肪酸の長さをさまざまに変えたグレリン・ペプチドを合成し活性を調べた。その結果、脂肪酸の炭素数が8個のとき(すなわち天然のグレリン)が最大の活性を示し、それより脂肪酸が長くても、短くても、活性は低下することがわかった。以上の結果から、グレリンの高活性誘導体合成に関する構造的情報が得られた。
|