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2002 年度 実績報告書

グレリンの内分泌・代謝性疾患の診断および治療応用を目指した開発研究

研究課題

研究課題/領域番号 13557090
研究機関久留米大学

研究代表者

児島 将康  久留米大学, 分子生命科学研究所, 教授 (20202062)

研究分担者 南竹 義春  サントリー(株), 医薬開発研究所・プロセス開発, 主席研究員
林 友二郎  サントリー(株), 医薬開発研究所・開発薬理, 主席研究員
寒川 賢治  国立循環器病センター, 生化学部, 部長(研究職) (00112417)
坂田 恒昭  塩野義製薬, 創薬研究所, 主幹研究員
キーワードグレリン / 成長ホルモン / 脂肪酸 / 胃 / 構造活性相関
研究概要

申請者らがヒトおよびラットの胃から発見したグレリンは、成長ホルモン分泌促進および摂食亢進作用をもつ新しい生理活性ペプチドである。グレリンは3番目のアミノ酸セリンが、脂肪酸であるオクタン酸によって修飾されており、しかもその修飾基の存在が活性発現に必要という、これまでに知られていない構造をしている。申請者らはグレリンに関して本年度中に次のような研究を行った。
(1)ヒトでは複雑なグレリン分子型が存在する。ヒトの胃抽出物中ではメイン分子型のオクタン酸で修飾されたグレリン(C8:0)以外に、
i、C末端のアルギニン残基(Arg)が欠けたグレリン-(1-27)(C8:0)
ii、オクタン酸ではなく炭素数10個のデカン酸(decanoic acid)によって修飾されたグレリン(C10:0)
iii、オクタン酸ではなく、炭素数10個で不飽和結合が一つ含まれたdecenoyl基によって修飾されたグレリン(C10:1)
iv、C末端のアルギニン残基(Arg)が欠けた、炭素数10個のデカン酸によって修飾されたグレリン-(1-27)(C10:0)
の4つのマイナー分子型が存在した。これらのマイナー分子型のグレリンは活性的にはメインのグレリンの強さとほぼ同じである。
以上の結果から、ほ乳類のグレリンはプロセシングの過程で、複数の分子型が生成することがわかった。これらの分子型が、ある特定の生理作用を分担しているのか、特定の疾患でいずれかが特異的に増加・減少するのか、など今後の解析が必要である。
(2)ほ乳類以外のグレリン
グレリンのユニークな構造がラットとヒトにのみ見られる例外的なものなのか、あるいは他の動物種でも認められるグレリンの特徴なのかを調べるため、われわれは他の脊椎動物種におけるグレリンの構造解明を行った。本年度、Bullfrog(食用ガエル)、ニワトリ、ウナギのグレリンの構造を解明した。その結果、ほ乳類胃組織には全てグレリンが存在した。これらのグレリンは、カエルでは3番目のスレオニン残基、ニワトリとウナギでは3番目のセリン残基が脂肪酸のオクタン酸あるいはデカン酸で修飾されていた。このようにグレリンは脊椎動物全部に存在する、代謝・エネルギー調節に関与するホルモンであることが明らかになった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Kojima, M., Kangawa K.: "Ghrelin, an orexigenic signaling molecule from the gastrointestinal tract"Curr Opin Pharmacol. 2. 665-668 (2002)

  • [文献書誌] Date Y.et al.: "Ghrelin is present in pancreatic alpha-cells of humans and rats and stimulates insulin secretion"Diabetes. 51. 124-129 (2002)

  • [文献書誌] Kaiya H.et al.: "Chicken ghrelin : purification, cDNA cloning, and biological activity"Endocrinology. 143. 3454-3463 (2002)

  • [文献書誌] Murata M.et al.: "Ghrelin modulates the downstream molecules of insulin signaling in hepatoma cells"J Biol. Chem.. 277. 5667-5674 (2002)

  • [文献書誌] Sugino T.et al.: "A transient ghrelin surge occurs just before feeding in a scheduled meal-fed sheep"Biochem Biophys Res Commun. 295. 255-260 (2002)

  • [文献書誌] Murakami N.et al.: "Role for central ghrelin in food intake and secretion profile of stomach ghrelin in rats"J Endocrinol. 174. 283-288 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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