研究課題/領域番号 |
13557090
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
児島 将康 久留米大学, 分子生命科学研究所, 教授 (20202062)
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研究分担者 |
南竹 義春 第一・サントリー・ファーマ(株), 主任研究員
林 友二郎 第一・サントリー・ファーマ(株), 主任研究員
寒川 賢治 国立循環器病センター, 生化学部, 部長(研究職) (00112417)
坂田 恒昭 塩野義製薬(株), 創薬研究所, 主任研究員
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キーワード | グレリン / 肥満 / プラダー・ヴィリー症候群 / 過食 |
研究概要 |
(1)グレリンELISA系の評価検討 新しいグレリンELISA系は、血液サンプルの前処理なしに直接グレリン濃度の測定ができた。この系による測定と、従来のペプチド抽出した後にラジオイムノアッセイ(RIA)で測定する方法との両方で得られた正常値を比較検討したところ,、本キットでの測定ではやや低めの値になった。この原因についてはまだ不明だが、抗体の性質によるものと考えられた。測定感度は活性型グレリンで約5fmol/ml、des-acylグレリンで20fmol/mlであり、血漿サンプルの直接測定が十分に可能であった。 (2)グレリンELISA系を用いたプラダー・ヴィリ症候群(PWS)の内分泌異常 上記で評価したグレリンELISA系を用いて、実際に遺伝子異常による摂食亢進を示すプラダー・ヴィリ症候群患者の血液中グレリン濃度を測定した。その結果、PWS患者では血中グレリン濃度が上昇していた。年齢および摂食亢進の開始時期前後の測定結果から、血中グレリンは生後すぐにから高値を示していると考えられた。今後、病態との関連をさらに進めていく計画である。 (3)グレリン欠損マウスの作製 本年度はグレリンのノックアウトマウス作成を試みた。現在、F1ヘテロマウスを得て、その交配からグレリン・ホモ欠損マウスの作成を試みている。 (4)ヒト胃におけるグレリンについて ヒトの胃抽出物中ではメイン分子型のオクタン酸で修飾されたグレリン(C8:0)以外に4つのマイナー分子型が存在した。このようにヒトのグレリンはアミノ酸の長さと脂肪酸修飾基の違いで、複数の分子型として存在する。 (5)非哺乳類のグレリン精製と構造解析 両生類、鳥類、魚類のグレリンの構造を明らかにした。その結果、グレリンはほ乳類にだけ存在するのではなく、脊椎動物一般に広く存在することがわかった。また脂肪酸による修飾基も、ほ乳類グレリンに特有のものではなく、両生類、鳥類、魚類のグレリンでも認められる。このことからグレリンは進化の過程においてもずっと保存され、生体にとって必須の生理活性ペプチドであると考えられた。
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