研究概要 |
アンチセンスCD44(asCD44)遺伝子導入細胞を用いた増殖・浸潤・転移メカニズムの解析 1:asCD44遺伝子導入細胞の作製 asCD44を発現させるプラスミドベクターを大腸癌細胞株LS174Tに導入し、stable transfectantsであるAS1とAS2を樹立した。asCD44を組み込まないベクターを導入した細胞もコントロールとして樹立した(NEO)。 2:皮下腫瘍モデルでの解析 AS1,AS2およびNEOを免疫不全マウスの皮下に移植し、3日後、7日後、14日後にマウスを犠死させ皮下腫瘍を摘出した。腫瘍体積はNEOよりもAS1,AS2が有意に小さかった。CD31の免疫染色により、皮下腫瘍周囲の血管新生を検討したところ、AS1,AS2では有意に微小血管数が低かった。 3:同所移植モデルでの解析 AS1,AS2株とNEO株をマトリゲルに浮遊させ、免疫不全マウスの盲腸漿膜下に同所移植した。この方法により、高率に盲腸に腫瘍を形成させることができる。移植後8週のNEO群では、高率に腸間膜リンパ節への転移が認められたが、AS1,AS2群では全く認められなかった。VEGF-R3の免疫染色によりリンパ管を染色し、盲腸腫瘍周囲のリンパ管侵襲数を検討したところ、AS1,AS2ではリンパ管侵襲が有意に少なかった。 4:リンパ節への接着性の解析 リンパ節の凍結切片上に、癌細胞がどの程度接着するかを、Stamper-Woodruff assayにて検討した。AS1,AS2株は、NEOおよび親株と比べて、有意に接着する細胞数が低かった。
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