研究分担者 |
北川 剛 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (90262021)
小山 博之 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10241994)
重松 宏 東京大学, 医学部・附属病院, 助教授 (40134556)
濱田 洋文 札幌医科大学, 医学部・分子医学研究部門, 教授
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研究概要 |
本研究の目的は、我々が考案したEx vivo 法を用いた血管新生療法を臨床応用するために必要なデータを収集することにある。この治療法は、培養した宿主の線維芽細胞にアデノウイルスベクターを用いて分泌シグナル付bFGF遺伝子を導入し、それを虚血部位に隣接する組織に分布する動脈に注入するものである。本年度は治療効果のより詳細な評価を目的に(1)投与する遺伝子導入細胞の細胞数による血管新生効果への影響、即ちdose-responseに関する検討と、(2)投与された細胞が機能し続ける期間について明らかにした。実験モデルはラビット下肢慢性虚血モデルを用いた。(1)投与する細胞数は2x10^5, 1x10^6, 5x10^6, 2.5x10^7個の4種類を設けた。投与後28日目にBlood pressure ratio, Angiographic score, Capillary density, In vivo blood flowを測定し各群で比較した。2x10^5個と1x10^6個を投与した群ではすべてのパラメータにおいて細胞を投与しなかった対照群と比べ有意な効果は認められなかった。5x10^6個と2.5x10^7個を投与した群ではすべてのパラメータで有意な改善が観察されたが、この二群間において有意差は検出できなかった。この結果から本法では効果を得るためには最低限特定の細胞数以上の投与が必要であり、またその特定の細胞数以上に投与してもさらには効果を期待することが出来ないことが明らかになった。(2)投与された細胞のin vivoにおける機能持続時間は細胞が主に分布している虚血枝の筋組織を抗bFGF抗体で免疫組織染色を行い、bFGFを発現している細胞数をカウントして検討した。そして投与された細胞は、投与後約2週間で体内から排除されていることが判明した。
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