研究課題/領域番号 |
13557100
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
嶌原 康行 京都大学, 医学研究科, 助教授 (30196498)
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研究分担者 |
山本 成尚 京都大学, 医学研究科, 助手 (30253298)
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
河田 則文 大阪市立大学, 医学部, 講師 (30271191)
寺嶋 宏明 京都大学, 医学研究科, 助教授 (40314215)
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キーワード | 肝微小循環 / 星細胞 / 類洞 / 生体顕微鏡 / ROCK / Rho kinase阻害剤 / 肝線維化 / エンドトキシン / 肝不全 |
研究概要 |
星細胞の活性化が収縮能・弛緩能と深く関わっている事を基に、肝微小循環(類洞血行)の調節を通じて、肝細胞機能へ影響を調べた。星細胞の活性化制御に関連する種々の物質で、抗酸化剤NAC(N-acetyl-L-cisteine)が強力な活性抑制作用を持つことを、ラットTAA-induced肝硬変と胆管結紮の二つの肝線維化モデルにおいて明らかにした。また、星細胞活性化制御の新しい機序の薬剤としてROCK/Rho kinase inhibitorであるY27632が注目されるに到ったので、本物質の効果を検討した。肝臓外科病態に関する急性侵襲モデルとして、ラットで肝虚血再潅流障害を惹起すべく片葉阻血モデルを確立し、生体顕微鏡を用いた肝微小循環の観察を基にY27632の効果を検討した。虚血により、中心静脈径の狭小化、類洞径の狭小化、類洞潅流率の低下、類洞白血球stickingの増加、中心静脈における白血球膠着の増加が見られ、いわゆる肝微小循環が障害されたが、Y27632の投与はこれらの変化を抑制し、肝微小循環の改善効果があることが判明した。新たな肝障害モデルとしてエンドトキシン・ガラクトサミン肝不全モデルを確立し、Y27632の同様の効果を確認した。 なお、下記の理由で本研究課題の最終報告は、平成16年3月31日までに行う予定である。 1)慢性肝障害モデルとして、TAAによる肝硬変を作成したが、生体顕微鏡での微小循環の観察は肝表面の凹凸の為限界があり、その克服に時間を要する。 2)Y27632の肝微小循環改善効果は星細胞の収縮弛緩に基づくものと考えられるが、白血球の膠着防止効果も無視できない。このため、白血球表面と類洞内皮に発現する関連蛋白の同定を計画し、Y27632効果の詳細な検討を加える必要がある。
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