研究課題/領域番号 |
13557101
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
陳 孟鳳 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (40333603)
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研究分担者 |
古川 博之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (70292026)
松下 通明 北海道大学, 医療技術短期大学部, 教授 (20250425)
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60136463)
倉内 宣明 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (70322815)
嶋村 剛 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (00333617)
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キーワード | Rho-Kinase / Y-27632 / 肝温阻血障害 / ICAM-1 |
研究概要 |
前年の実験まで以下の3点が解明できた:1)肝温阻血中に活性酸素産生・エンドセリン-1の産生・TNF-alpha mRNAの発現・adenosine A1 receptorの発現・protease活性・thromboxane synthase活性・phospholipase A2活性・angiotensine II type I receptorの発現肝が増強される、2)好気性代謝が障害され肝組織ATP・cyclic AMPが減少し肝細胞形質膜のintegrityが維持されなくなり肝細胞壊死が始まる。3)再權流後は活性酸素種の更なる産生増強に伴って好中球の接着・浸潤が著明になり肝微小循環障害が起因となるoxygen deliverlyの悪化に伴って組織学的検索ではapoptosisよりはむしろ凝固壊死像が増加する。本年は再灌流後の好中球組織浸潤に大きな役割を果たす細胞骨格変化を卸御するRho-Kinaseをその特異的阻害剤Y-27632(以下Y)を用いて抑制することがラット肝温阻血障害を軽減するか否かを検討した。SDラットにYを10mg/kg服用させ1時間後に肝の70%を阻血にし120後に再灌流させ非阻血30%は切除してラットの生存及び残肝の肝機能を評価した。Yは生存率を有意に改善した。Yの投与は肝組織血流量を維持し肝逸脱酵素・肝静脈エンドセリン-1濃度を低減し組織浸潤好中球数を有意に低下させた。接着分子ICAM-1の発現は両群で差の無いことからYは当初の期待通り再灌流障害で活性化された好中球の細胞骨格変化に影響を与えた可能性があると考えた。Yはもともとカルシウム感受性を低下させる降圧剤として開発された薬剤で今回の実験においては全身血圧に影響を与えず上記の肝温阻血障害保護効果を得た。以上のことからYは従来までとは全く左葉機序の異なる新世代の薬剤として肝臓の臓器保護に貢献する薬剤と考えられた。
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