研究課題/領域番号 |
13557102
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
古川 博之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄付講座教員 (70292026)
|
研究分担者 |
嶋村 剛 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (00333617)
陳 孟鳳 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄付講座教員 (40333603)
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60136463)
|
キーワード | 成人間生体肝移植 / small-for-sizeグラフト / 門脈圧 / 肝類洞内皮障害 / 肝微小循環障害 / 門脈・下大静脈シャント / ホスホジエステラーゼIII阻害剤 / 肝再生因子 |
研究概要 |
本邦では現在まで1780例(小児1018例・成人762例)の生体肝移植が実施されてきた。しかし末期肝不全患者の85%は成人症例であり、本邦における生体肝移植の対象も成人に移行してきた。術後移植肝の早期機能回復を期待するには充分量の肝臓を移植する必要があるので、我々は本邦で始めて肝右葉をグラフトに用いる成人間生体肝移植を施行し、その術式と術後管理を確立した。しかしドナーの解剖学的理由・安全性を考慮して左葉グラフトを用いると小さな肝臓いわゆるsmall-for-sizeグラフト(ドナーグラフト重量対レシピント標準肝重量比GV/SV ratio:40%以下)症候群に陥る。small-for-sizeグラフト症候群の特徴は還延する高ビリルビン血症・腹水・凝固機能障害があげられるが、この病態を解明するためビーグル犬に40%、70%、85%肝切除を施行し2週間生存率・術後肝再生率・門脈圧・門脈血流・門脈血管抵抗・肝動脈血流・肝動脈血管抵抗・ヒアルロン酸・エンドセリン-1・凝固機能・肝機能・肝微小循環を測定した。85%肝切除犬は6頭全例が3日以内に死亡した。その原因は門脈血管抵抗の上昇に伴う肝類洞機能障害が急性肝不全を惹起したことが明らかになった。その対策として門脈圧を減少させるために門脈・下大静脈シャントを作成したがシャント流量をコントロールすることが出来ず門脈圧は低下したものの85%肝切除犬は高アンモニア血症を呈して肝不全死した。次にホスホジエステラーゼIII阻害剤を用いてサイクリックAMPシグナルを増強させ類洞を拡張させると門脈血管抵抗は減少し85%肝切除後6頭すべての犬が5日以上生存したが7日以上生存する犬はいなかった。これらの実験結果からサイクリックAMPシグナル増強に加え肝再生因子の補充療法が必要と考え現在HGF/SF等の門脈内投与併用した実験を行っている。
|