研究課題/領域番号 |
13557102
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
古川 博之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (70292026)
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研究分担者 |
嶋村 剛 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (00333617)
陳 孟鳳 北海道大学, 大学院・医学研究科, 寄附講座教員 (40333603)
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (60136463)
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キーワード | 70%肝切除 / ヒアルロン酸 / エンドセリン / 門脈圧 / 門脈血流 / 動脈血流 / 類洞内皮障害 |
研究概要 |
ビーグル70%肝切除モデルの肝障害機構を解析した。方法:ビーグルに70%肝切除(n=5)を行い術後14日観察した。心拍数・平均動脈圧、心拍出量・肺動脈圧・肺動脈楔状圧・右房圧(スワン・ガンツカテーテル)・門脈圧、肝組織血流・velocity(レーザードップラー法)、門脈血流・肝動脈血流(超音波トランジット血流計)、末梢血ヒアルロン酸(HA)・エンドセリン(ET)濃度(酵素抗体法)、総ビリルビン値(T-Bil)、AST値を測定した。門脈・肝動脈血管抵抗を計算した。門脈圧測定チューブと門脈・肝動脈血流測定プローブを埋め込み連日測定した。結果:数値は全て平均値で表した。全例14日生存した。心拍数に変化は無く心拍出量・肺動脈圧・肺動脈楔状圧・右房圧は肝切除後低下した。門脈圧は術前の1.5倍に上昇し2日後に前値に復した。組織血流は切除後1.5倍に上昇し、velocityが2倍に上昇した。肝臓100g当たりの門脈血流は術後1時間で約3倍になったのに対し動脈血流は1/2になった。また術後3時間で門脈血管抵抗は3倍になり動脈血管抵抗は7倍に急増していた。14日目の門脈血流は前値に復したのに対し動脈血流は1/2のままであった。HAは切除直後に有意に上昇し2日目にピークを迎え14日目に前値に復した。ETは切除後3時間から上昇し術後1日目依然高値を保っていた。T-Bilは肝切除後最高13倍にまで上昇し14日目でも約3倍の値を示した。ASTは1日目1039(IU/L)となり、14日目161に低下した。結語:70%肝切除後肝臓の血管床が減少することで残肝に過度の門脈血が流入し類洞が相対的に狭小化した。血管抵抗の増加で門脈圧が亢進し血球の通過速度の増大が類洞内皮を刺激し障害に発展したと考えられる。HAの変化からその後の類洞内皮障害は術後も続き高ビリルビン血症が遷延したと考える。
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