研究課題
オキサリプラチンおよびシスプラチン耐性癌細胞および非耐性癌細胞株を用いたDNAマイクロアレイの解析結果より、Tubrin特異的シャペロンEおよびCBP/P300-Interacting Transactivator(CITED2)遺伝子の増幅を認めた。さらに、オキサリプラチンとシスプラチンの1:1合成化合物であるディプラチンを用いたマイクロアレイ解析により神経毒性の原因としてグリア細胞のSyntaxin B遺伝子やNeuromedin B受容体遺伝子の発現低下による神経伝達障害が一要因と想定された。また、トランスポーター遺伝子の解析により、PEPT1、OATP-C、OCTN1などの遺伝子が同定され、PEPT1はβラクタム抗生物質、アンギオテンシン転換酵素阻害剤、抗癌剤であるベスタチンの小腸粘膜の吸収に関係し、OATP-6は肝細胞のペプチド排出に関係し、OCTN1はpH依存性の陽荷電分子の移動に関係することが解った。また、これらの遺伝子キャリアーの開発も平行して行い、プロトンスポンジ効果を持つポリエチレンイミンを用い、血清蛋白との凝集を阻止するカルボキシル側鎖を持つアニオン性PEG誘導体(PEG-C)を用いて複合体の表面をコートし新規ポリイオン複合体を形成した。この複合体にpH依存性膜融合ペプチドJTS-1とLactose修飾PEG-Cを用い6×10E9 RLU/mg Proteinまで発現効率を高め得た。さらに、腫瘍選択性を考えシスプラチン封入Transferrin結合PEG-リポソームを用いて胃癌の癌性腹膜炎モデルの治療効果を得た。
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