研究課題/領域番号 |
13557105
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 雄造 京都大学, 医学研究科, 講師 (70281730)
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研究分担者 |
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
寺嶋 宏明 京都大学, 医学研究科, 講師 (40314215)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2002
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キーワード | ストレス応答 / HDAC / 遺伝子導入 / 遺伝子発現 / HSP / Trichostatin A / FR901228 / CHAP31 |
研究概要 |
新規histone deacetylase inhibitor(HDACI)であるCHAP31及びFR901228が、培養細胞系においてアデノウィルスによる導入遺伝子(LacZ)発現を約10倍以上に増強させうることを明らかにした。又、LacZのようなレポーター遺伝子のみならず、熱ショック蛋白72(HSP72)のような機能を持った遺伝子を導入した場合においても同様の増強効果が確認された。 上記の外来性遺伝子発現増強効果が、細胞内コアヒストンのアセチル化の程度と強く相関し、過去に報告されていたような、細胞表面に存在するアデノウィルスレセプターの発現上昇によるものでないことを確認した。従来内因性の遺伝子発現制御に深く関わっているとされているヒストンアセチル化が、外来性に導入された遺伝子の転写制御にも影響を与えていることが示唆された。 HSP72を、熱ショックにより内因性に誘導した場合にはHDACIによる発現増強効果は観察されず、HDACIによる発現増強効果は導入遺伝子に特異的な現象であることが示唆された。 マウス肝臓にLacZを遺伝子導入した後、CHAP31もしくはFR901228を投与することにより、遺伝子発現を約2倍に増強させることに成功した。TSAによるin vivoでの遺伝子発現増強効果はこれまでに報告がない。CHAP31やFR901228はTSAに比し安定性が高く、動物個体に静脈投与した場合でも比較的長時間の有効血中濃度を維持できることがin vivoでの効果発現に寄与している可能性が高いものと考えられた。また、アデノウィルスの導入効率自体が低いものの、同様の発現増強効果は肝臓のみならず心、肺、腎などの臓器に於いても観察された。 HSP72の遺伝子導入による肝虚血再潅流障害抑制効果については現在検討中であるが、十分な発現を得るべくベクターの投与量を増やすと、ウィルス自体の持つ肝毒性が現れてくると言うジレンマがある。HDACIと併用することにより使用するウィルス量を減少せしめることが、ブレイクスルーにつながるものと期待している。
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